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暁の空の部屋


[5] 君の記憶
詩人:暁の空 [投票][編集]

もう何にも無いと思っていたのに
あの曲を聞いた途端
鮮明に記憶の中に残っていた事を知った

駅のホームで掴んだ君の腕
話そうと思った台詞は出て来ない
「頭の中が真っ白になる」
その感覚もまだ忘れていない
必死で分かり合おうとした
それでも君の言葉や態度、口調…そんな些細な事一つ一つに傷つき
想いは冷めていった
「それだけの想いだった」
自分に言い聞かせ
沈黙の中で傷口を舐める

次の駅で出来たばかりの傷を抱えながら電車を降りようとした時
「じゃあまた明日」機械のように君は言う
人込みに一人ドアの前で立ち尽くし君を見た

伝えたいことがあったんだ

突然鳴り響く発車のベル
目の前のドアが閉まる
その時少しホッとした自分がいた
そのまま振り返る事も無く
何も無かったかのように電車を乗り換えた

君の言った明日は来ないって分かってる

電車の中で一人、あの時伝えられなかった言葉を心の中で呟く

「バイバイ」

2008/08/08 (Fri)

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