ホーム > 詩人の部屋 > 朱雀の部屋 > 晩 景

朱雀の部屋


[25] 晩 景
詩人:朱雀 [投票][編集]

七つ下がりの風通り

透かし模様の薄絹に

囁(つつめ)く日射が

なだらかに滑り・・・・


疾(と)うの昔に置いてきぼりの

ブリキの箱で ひしめく玉が

熱の籠った鋪道を走り

鳴く蝋石の跡を追う


虹色の影を惜しむ間に

桑楡(そうゆ)日暮れて帳(とばり)を下ろし

爛柯(らんか)の名残も掻き消えて

斜陽が煽る草いきれ 


彼方の路傍に残された

見過ごす程の足跡に

切ない笑いが くつつと ひとつ

道行き摺りに また ひとつ

2008/10/23 (Thu)

前頁] [朱雀の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -