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鈴砂の部屋


[3] 春の指先の届かぬ所で
詩人:鈴砂 [投票][編集]

野原の向こう側で
君は温もりを呼んでいる
今はまだ冷たいだけの風が
暖かい指先で優しく頬をくすぐりだすまで
君はそこで待つつもりでいる
君だけが
気早にコートを脱ぎ捨てて
気長に地べたにぺたりと座り
遠くを見つめて待ち続ける

まだまだ彼は来ないだろう
その事を君は既に知っている
それを知りつつもなお
なかなか姿を見せようとしない彼が
君には何だかじれったく感じられ
ただ待っている事も限界に達し
早く来い
そう大声で叫びつつ
はたはたと君は手招きをしてみたりする

2005/05/01 (Sun)

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