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夜深の部屋


[33] 臆病の朝物語
詩人:夜深 [投票][編集]


光を受けて
まばたき 一つで
また 希望が湧いて 絶望に沈む

あんな光に包まれる資格なんて
私にはない
と思う反面
きっとある、なんて買いかぶる

朝は灰色でやりきれない…ぼやけていくものだと
どこかの作家は言っていた

みんなはいつも何を思ってめざめ
何を願って この灼熱の外の世界へと旅立つ?

太陽がにじんで
涙はとりあえずお預け、だから
外に出なくちゃ どこか遠くへ
旅立たなきゃいけないよ

昨日に傷つけられた羽根の 先端部分だけ
かすかに揺れて
微風の青空 くるりと一回転したって
希望と絶望は揺らいだりしない

愛したって 恋に落ちたって
絆深めたって 夢見続けたって
どうせ明日には消えるものなら
見なきゃいいじゃん
傷つくだけの毎日は駄目

そう
朝が来るたびに
朝の光受けるたびに
悲しくなる
どうして外に行って 生きなきゃならないんだ、って
思う自分が贅沢すぎて 悲しくなる

外の太陽が眩しすぎて怖くて痛くて

部屋のぬくもりは静かな灰色
そこに閉じ篭もってしまえと思う

でも
やっぱり
外に出て 一生懸命に
明日に遺せるものを つくらければ駄目

今日がもし 不意にしんでしまえば
明日なんて消えて 永遠に辿りつけないでしょ

さてさて
物語はつづきます
明日に向けて 今日があるので私は
今日も 眩しくて明るい 悲しくて痛い
そんな場所へ
羽根を羽ばたかせて行きます

2011/07/11 (Mon)

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