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アイカの部屋


[179] あの家
詩人:アイカ [投票][編集]

あの家に
住んでた頃を
夕方起きて
急に思い出したわ

その頃パパは
学校の先生で
お休みの日は
真っ白な壁を
さらに真っ白に
塗ってた

玄関は吹き抜けで
ママはそこから
私を呼ぶの

お庭から
田ぼが見えて
お家の前には
大きな川が流れてた

二階から
しゃぼん玉を
飛ばして
いつも一人で
遊んでた

いつか掴めると
信じてた

必死に
握ろうとしても

シャボン玉は
ただのお水になる

手についたお水は
苦い味がした


最初にママを
殴ったのはパパ
目の前で見てたもの

ママは
いつの間にか消えた
パパもすぐに消えた
お家の中に
知らない人が来て
私とお兄ちゃんを
公園付きの
新しいお家へ
連れてった

人は沢山居たけれど
楽しくなんて
なかったよ

ご飯はいらない
おもちゃもいらない
パパが欲しいし
ママも欲しい

金網の内側
口紅色の空

ティディベアを
抱いて
一人で見てた

この道の先から
ママとパパがくる
だから一番に
お迎えしないとね

一番に頭を撫でて
もらわないとね

あの家は
まだあるのかしら
きっと汚く
なってるわね

14年も
昔のこと

あの家に
住んでた

頃のこと

2004/03/13 (Sat)

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