詩人:哀華 | [投票][編集] |
結果的に
申すとしたならば
希薄な関係は
それまでの感情の
食い違った
網のほつれ
みたいなもんだな
どう
あがいたって
からまる一方
焼き払ってしまえば
楽になれると
笑って煙草を
押しつけて
灰になったら
寂しい。なんて
後悔するんだろう
明けた
晴れた
時間は回る
崩れた
死んだ
世界は回る
めでたいなんて
一体全体
どこらへんがだよ
陰で消えた
命の重さも
しらねぇくせにさ
餅なんて食って
しこたま眠るんだ
私たち確かに
罪人ですな
償うべき時
今、ここで自分自身
膝をついて…
産まれ落ちたことに
空へと許しを
請うているのです
息をしていて
ごめんなさいと
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路線の蓋は
日増しに増して
灰色がかっていて
先刻驚いたほどに
固まった草木が
騒がしく
そよいでいた
その斜め右上
凍り付いた空気に
飛び込む妄想で
逝っていたんだ
なんと言っても
なんとごねても
明日はやはり
来てしまって
この路線の脇
痛切に何かしら
覚えたとしても
戻ってしまう事
神経質に
咳払いの私が
寂しいが故に
求めた時の流れ
愛していたなら
何をしたって
いいと言うの
愛していたなら
錆び付いた
体を弄っても
いいと言うの
間違っていた
最初からね
飛び込む瞬間
二秒弱の間
最後に私が
聞いたのは
きっと君の
一番痛いところが
軋む音だったんだね
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半径1メートル
まるで黒い帯が
幾重にも取り囲む様に
この体の周りには
ドーナツみたいな
空洞が空いていて
どっかの誰かさんは
その空洞の外側から
今この時を
忘れえぬと言う
それはきっと
嘘なんだと
矛盾だらけの
物言いに
呆れてしまったのさ
ここからだ
踏み出す
準備をしようか
見上げた空は
私には
果てないほどに
遠すぎて
疲れちまったんだ
この羽根じゃ
まるで
飛べやしないから
潤んだ声で
また生まれ変わったらと
守る宛のない
約束事を
まぶたの上に
くっつけて
永遠ではない
別れではない
そう聞こえない声で
呟いて
良かったね
楽になれるよなんて
感情を殺した声で
冷たく投げつけて
私は
アンタの前から
水蒸気みたく
すんなりと
消えたげる
よかった
これで
らくになる
らくになる
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はははと笑う
乾いた喉に
鋭利なものを
突き立てて
出血多量で
真っ白く
悲しく痛く
罰を与えるが如し
消え行くことを
熱望し
切り刻んでいたんだ
体中ね
汚らしい血を
出し切って
しまいたかったんだ
本当さ
翻弄されていた
悲しい時の流れ
なんかに
常に探していた
心の在処
幸せの在処
パパの行方
あの時もう1錠
多めに飲んで
居たならば
私は
楽になれて
いたかも
しれないね
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訳あって
今しゃがみこみ
膝をかかえ
全てに無関心を
装います
変化の夜
明日笑っている
為なんかには
今日今この時
殺すべき
自分が居たりしてさ
分かってる
全部分かってる
一々反復
しないどくれよ
この体と頭は
めんどくさがり
さみしがり
いたがりながら
なきたがります
訳あって
今下を向き
耳を塞ぎ
涙を流しながら
叫びます
突然全て
嫌になった夜
投げ出した体は
何時の間にか
明日を見ることを
辞めていました
世の定めた
約束事に
がんじがらめの夜
嫌になったんだ
もう全部…
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ひっくり返って
眺める電球
のらりくらりと脳が
動いていた
先ほどのんだ
薬品が体を巡り
君の顔が
思い出せぬほどに
朦朧とした意識だ
黙っていても
眠るさ
このまま
すんなりと
あがいているのは
書きたい衝動に
かられていたから
出きることなら
ポネットみたいに
神様を信じてたい
そう思った
出きることなら
ヘドウィグみたいに
歌ってみたい
そう思ったんだ
ひっくり返って
眺めている天井
そこに大きく
描いてあるのは
折れた片方の翼
出きることなら
浸食しつつある体を
燃やしてやりたい
そう思った
出きることなら
流ちょうに鳴る
その喉を
かっ切ってやりたい
そう思ったんだ
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そう遠くない
昨日のことです
馬鹿笑いを
絶えずしていました
理由は
単純明快で
嘘つきな腹の中身を誰にも
見せたくなかったって
まあそんな所さ
二人とも
大きく罰点
背中に刻んで
格好付けているだけ
ふと見つめる横顔に
見飽きた二重の瞳
それは愛と呼ぶには
淡すぎて
友と呼ぶには
深すぎた感情さ
気ままに
縁取られた形は
教科書なんかに
出てきそうなほど
鋭角で
他の誰にも
気づかれぬよう
絶えず耐えて馬鹿笑いを…
あの日笑顔で
嘘をつく私は
気づかれぬようにと
ひきつる顔で
祈るばかりでした
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動きたくなかった
午前1時
これでも世間では
世話焼きで
まかり通る
勘違いだと
言われようが
たった独りそうなのだから
仕様がないだろう
しけたクッキーなど
噛みながら
答えぬ
電子会話機と
警報を鳴らし続ける
電子新聞箱を
睨みます
分かっていないじゃないか
私のことなど
誰一人として
知らぬふりじゃないか
世間の事など
誰一人としてさ
今日二人死んだよ
西と東その間で
明日三人死ぬよ
北と南その間で
涼しい顔で
知らぬふりだ
自分には
関係ないものね
この先だって
関係
あり得ないものね
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分かるかい
いつも大きな
プレッシャーに
押し潰されそうに
なりながら
生きてるんだ
そしていつしか
きっと本当に
潰れてしまう
そんな気がするよ
君はどこに
行ったんだっけ
記憶が障害を起こして
頭の骨が
ガタガタと
音をたててる
場末の側面
いつしか名シーンは
言い伝えでしか
なくなるし
私はと言えば
世界の隅の方で
心底人を恐れ
自分を恥じて
いたりもするし
分かるかい
息をするのが
苦痛なんだ
分かるかい
前へ進むのが
怖くて仕方がないんだ
愛されたい
ただそれだけの理由じゃ
生きてる意味には
ならないなんて
聞いちゃったもんだから
どうしようか
迷ってるんだ
混乱の渦の中で
ただ一人きり
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この列車は各駅停車
よし分かった
酷いもんで
飛び降りたのは
さっきので
81人目だったかな
何時かは皆飛び降りる
可笑しなもんで
私が乗ってから早数年
思い返したよ
冷えきっていた
空気が妙に光ってた
朝6時30分の
妙ちきりんな笑い声
満員の電車に揺られて
車内は寝息に
浸食されて
お隣いいですか
そう珍しくかけた
気遣い声にも皆
答えぬ始末
さっきから
体の置き場が
よろしくなくて
腕の重みが
驚くほどに
苦痛だった
この列車は各駅停車
終点は最期逝きです
途中下車は
不可能となっております
霞む目の玉
あの駅で急行に
乗り換えりゃあ
良かったかな
だって人より早めに
終わりにしたいもの
後悔ばかりが
頭をよぎり
昨日のあの言葉を
思い出してる
今日もまた始まって
今日もまた終わってしまう
例えばここに
居たくはないと
心から
望んだとしても
どこにも行けない
空へは飛べやしないんだ
絶対に
絶対に