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哀華の部屋  〜 投稿順表示 〜


[128] 貴方へ出す最初で最後の手紙
詩人:哀華 [投票][編集]

例えば
私が風に苛まれ
悲しみに
暮れていた時にも

貴方は新しい家
幸せ溜まる
暖かな場所で

それも知らずに
笑って
いたのでしょうか

憎しみと愛情が
混同して
貴方を日々
深く否定し続けた

私を捨てたこと
今更間違いだなんて
言えませんが

日増しに増して
疲れていく女に
初めて煙草を
押しつけられた日
思い出したのは

白い壁の
大きな家の中
ポツリと散った
小さな目から流れる
水音なんかで

それで泣くことを
辞めたのは

記憶の断片
大きな手で
頭を撫でる

貴方の面影が
よぎったからでした

今日も眠れぬ
そんな夜

貴方は苦しんで
死んでいったと
人から聞いています

愛していると
一度だけでも
言うべきでした

過去は過去なりに
意味を帯びて
最低の記憶でも
懐かしさが
こみ上げるのです

愛していたと
遅すぎた報告を
今ここで

パパ。
最低の毎日は
そこに貴方が
生きていると
思えたから

私もなんとか
息をして
居られたんだ

愛していたから
本当に
届かないとしても
今、呟いて
みたかっただけ

いいでしょう
笑わないで
聞いていてね

2005/02/10 (Thu)

[129] 水分過多のバラ
詩人:哀華 [投票][編集]

この際
もうどうでもいいよ

その口はどうせ
出任せばかり
話すのだから

恐ろしいほど
真っ黒な眼
きっとそこには
私の背中に彫られた
バラなんか
目じゃないくらいの

小さくて可愛い
赤い花が
写るんだろう

気ままに
そのまま砕けたら
つながることも
きっと億劫になって

私たち
花びら散るように
儚く終わって
しまうんだろうね

足元すくわれて
立てなくなったのは
地面が驚くほどに
不確かだったから

やわらかすぎる土は
水分過多で
少しずつ着実に
沈んでいく

もがくのは
思ったより
疲れてしまうから

もういいや
その眼にはどうせ
私など写らないから

2005/02/11 (Fri)

[130] 黒い大声
詩人:哀華 [投票][編集]

所詮
ここから
ここまでだ

次第に
視界は狭まって

はっきり
言ってしまえば
どん底な気分で

ここへ
存在するもの全て
最後は移ろい
消え去るもの

いつしか夜の端に
予定より早めに
とけ込んで
しまえたら

どんなにか楽に
なれるだろうか

私はここへ何をしに
落とされたのかと
本気で何度も
問うていた

はにかんだ雨
私はその中に
黄色の傘を閉じ

感じていた

黒い空の大声
本気で鳴く音を

2005/02/11 (Fri)

[131] 深海魚色色
詩人:哀華 [投票][編集]

さあ、お帰りは
あちらとなって
おりますです

舐めあいごっこ
馴れ合いごっこ
貴方は本当に
辛かったのよね

本気でそんなこと
言っているの
だとしたら

軽蔑に値しますれば?

ははん。
脅かし
ひねくれ者の最後

脳天から顎まで
鋭利な物で
お通しさしあげて
くださいますです

ははん。
策略は無効へと
それが臆病者の
結末としたなら

腹をかっさばいて
笑ってくれ
喉を切っかいて
笑ってくれ

海は染まる
悲しげな深い緑へと

笑ってくれ
私なんかを
救ってくれ
この体を

2005/02/11 (Fri)

[132] カッティン癖
詩人:哀華 [投票][編集]

体に染み着いた癖を
病と呼ぶならば

痛いところは
パニック的な症状で

視界は下半分から
切り取られ
上半分が乳白色に
濁る始末

そうだね意識の下
完全に潰されて
しまいそうなのは
分かっているけれど

明後日には
血まみれた右手など
跡形もない程に
後片付けしてるはずだ

この際それを
病と呼ぶならば
支配は貪欲な程に
私を蝕んで

楽しむこと
重なること
返さざること

完治と呼ばれた物を
意図も簡単に
やってのけた振り
してみたってだけ

やっぱりね
ホラ、
再発ってなわけか
ごごう、ごごうと
うねり
呑まれた体

痺れた両手
ああ
疲れた、悲しい

本当に
本当に
消えたいよ

2005/02/12 (Sat)

[133] ポツリ、サラリ、グシャリ
詩人:哀華 [投票][編集]

消えない
意味ない
ポツリと吐いた

ノイズだらけの
音の横
求め、探し
泣くときのように

安堵の表情
お道具箱の中身
幾重にも織った
千代紙の行方

ガラクタだらけの
部屋の隅
叫び、喚き
探すときのように

泣けない
意味ない
サラリと言った

節々が痛むのは
生きているって訳
最低な物象って

触れない
訳ない
グシャリと死んだ

2005/02/12 (Sat)

[134] 巡る思考回路を書き連ね
詩人:哀華 [投票][編集]

おとついの奥
そのまた深い場所

固まっていた物
どうしようもなく
なにやら放つ体

立って
いられなかった
今日なんかに
いっそ
水たまりと一緒に
消えちゃいたかったなんて
今更言えやしないさ

私自身を
置いてきたこと
悔やんだりは
していないけれど

あの日
あの時
あの場所で

確かに私は
存在し、
苦労や責任を
厭わぬ事、それも
受け入れることが
できるはずと
そして同時に
できないはずとも
思いこみ

「元々疑うことを
知らなければ
この体さえ
こんなには
憎しみ溢れて
いなかったはず」と
言いながら

いつの間にか
妄想壁なんか
築いてしまって

物珍しさで
寄ってくる
見物客には
唾を吐いた

抱いてあげる
その隙間にキスを
埋め込んでおけと呟き

片目を瞑り
誰にも気づかれぬよう
瞬く間に
溢れて流れた
汚らしい物を
腐った感情と共に
殺していたんだ

2005/02/21 (Mon)

[135] ステファニー
詩人:哀華 [投票][編集]

部屋の隅で
雑誌を切り刻んで

チェッカーフラッグ模様の
クッションに
顔を埋めて泣いて
いたんでしょう

君は自分で言うほど
大丈夫でもなくて
君は自分で言うほど
強くだってない

半分怒って
しっかり立って

それでも泣いて
まだ行けるなんて
今にも
崩れそうな笑顔で
微笑む仕方のない子

愛しているよ
そんなに強さに
憧れないでも
いいんだから

生きていてね

私に寄りかかって
楽に口笛なんて
吹いてればいい

辛くなんてないさ
今日は
こんなにこんなに
晴れ渡って
黄色く照らすのは
私の左手と
君の右手だけ

そうだね君は
口笛でも
吹きながら
大好きな
マスタードチキンでも
食べてればいい

少し止まって
それから
歩こうじゃない

春が来て
舞台に立つ私が
押しつぶされた
そんな時でも

変わらないで
そのままで
寄りかかってても
いいんだから
いいんだからね

2005/03/02 (Wed)

[136] Hullとコカ
詩人:哀華 [投票][編集]

痒い痛いと
弄っていた
心臓の奥の方

泣けない夜に
すでに疲れている私

夢の見方
明日の行方
私の存在

生きることは
辛すぎるほどで
息をするのは億劫で

先が見えない
そう言って彼女は
死を選び飛び降りた

瞬く事のない目は
まるで老人の様で

夢が見れない
そう言って奴は
薬漬けになり下がり

よだれを垂らして
しゃがみ込み
ラリってる目は
空虚に満ちて

星を映して
ないている様だった

苦痛なのは
存在する事
救ってくださいなど
もう言わない

神様はいない
願いも届かない
神様はいない
私に明日は来ない

2005/03/02 (Wed)

[137] 幅焚き
詩人:哀華 [投票][編集]

押し殺していたんだ
何もかも

見るからに
ひどい顔で
見上げていた夜空に

ここには何もないと

半笑いで
語りかけて

きっと私
本当は誰よりも
まともな人間で

私を取り巻く世界が
狂っているだけなのだと
慰めているこの時

空間的な物に
蝕まれ
人知れず夜空と
融合したならば
私は飛べるんだろうか

紛らわせて
溶け合った
悲しみなど一つもない

左腕を抱きしめて
私には
私が居ると
言い聞かせ

切り込みを
指でなぞり
はらはらと泣く

私は飛べるんだろうか

真っ黒な世界を
跨いだ所のその先で

2005/03/05 (Sat)
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