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ヒギシの部屋


[173] 赤花と白い手の郵便屋
詩人:ヒギシ [投票][編集]

揺れる手を視界の隅に
見つけたのは何時だったか
向かいの窓の黒猫の瞳が
私の眼を離さなかったのに

色鮮やかな花びらが
血の中に混ざり込んだのだ
ふわり風を掴むかのような
その手が魔法をかけていた

迷路のような煉瓦の町を
走り抜けるあなたは

狭くなった青い空を
見上げる事があるだろうか


黒猫は行ってしまった
カーテンに隙間を作って
瞑っていた金色の瞳が
ほの暗い世界に灯される

私は曇った窓を拭いて
まばゆい光を誘い込もう
白い手にきっと似合う
花を育てて贈るため

額縁のような煉瓦の町を
走り抜けるあなたが

切り取られた青い空を
見上げることがあるのなら
窓から溢れるブーゲンビリアが
それを美しく飾り立てる

あなたの心に花が咲くと良い
私に花弁が吹き抜けたように

2005/01/06 (Thu)

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