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ヒギシの部屋


[69] 大時計
詩人:ヒギシ [投票][編集]

夏休み
する事が一つも無かった僕は
蝉の轟音の中で消え入りそうになっていた

一刻一刻
今日も過ぎ去る

駄目だ
このままじゃ

時計が回転を速めるばかりだ
立ち上がらないといけないのに

僕という人生の下に横たわる
今という大時計

動かないそれの上を
僕が歩いて進めていく

僕が動かなきゃ
時計が自ら回りだしてしまう

こんなことしてちゃ
駄目なんだ

動き出した長針に乗って
酔いながらも降りられなかった

足掻いて足掻いて
なんとか降りようとした瞬間
ふらりと立ち上がった僕の足下から
針が消え去った

ちくしょう

長い夏休み
耳に棲み込んだ時計の音は
蝉の轟音を掻き消した

2004/02/12 (Thu)

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