あっちの道は
酷くつまらなかった
大所帯で
観光ツアーみたいに
ぞろぞろと
名所巡り
僕はあの道を
虚ろな目でしか歩けなかった
昔から見かけた
あのイバラの華に
心を奪われていたから
時が経つにつれ
僕の足跡は行列からはみ出ていた
ずっと触れたかった華に
ゆらゆらと
誘われていた
視界に映ったのは
大きくなった薔薇と
小さくなった行列
腕に
足に
頬に
胸に
イバラのトゲが触れ
目が醒めた
道が無い
助けも無い
後悔は
無い
トゲを掻き分け
薔薇の香りに
身を捧げ
開いた眼で
ツルの間から
空を見上げ
僕は進む
道無き道を
2004/03/12 (Fri)