ねぇドール
アナタとワタシ
どちらが先にあの世逝きかしら？
ねぇドール
アナタとワタシ
どちらが先に殺されるかしら？
ねぇドール
アナタとワタシ
どちらが先にナイフを突き付けるのかしら？
ねぇドール
何か喋ってごらんなさいよ

今日は雨だった
空を見上げても
地を踏んでも
雨だった
濡れた猫が
震えながら鳴いていた
アナタは誰よりも先に
何よりも先に
か弱い声を拾いあげた
寒さに震えた猫に
綺麗な服を貸して
温かいご飯を作った
首には鈴を付けた

その代わり猫は
アナタに温もりを渡した

僕のお部屋の
赤いソファに
お人形
お人形は
銀色のナイフに
赤い液体
赤い液体は
それは僕を叱る
ママの
ママは
赤いソファに座って
お人形さんに刺されたの

ブロンドが綺麗な水色スカートのお嬢様
お国ではちょっと有名な女の子
本日の意中のお相手は白い仔兎
ふわふわのスカートを軽く蹴って
高そうな懐中時計を追い掛けるフリをして
“お待ちになって仔兎さん、私と遊びましょう”
聞けば仔兎は逃げていく
蝶ネクタイが外れても
タキシードが破れても
逃げ惑う
“お待ちになって仔兎さん、私と遊びましょう”
笑顔で走るお嬢様の後ろには
血に濡れた道
枯れ果てた草木
動物の死骸

目の前に聳える無数のドア
その中でも大きな顔をしているドアを
貴方は開いてしまうのですか？
中には何が有るか解りませんよ。
もしかしたら
獰猛な動物が口を開いて待っているかも知れません。
危険な自然が悲鳴を上げて待っているかも知れません。
それでも貴方は開いてしまうのですか？
私は誘致致しません。
其処に落ちている金色のカードキーを拾うのですか？
それをどうしますか？
今すぐ開けるのも
貴方以外に開けられない様に隠してしまうも
捨てて次回に見送るのも
全ては貴方次第なのです
さぁ、カードキーを貴方はどうしますか？

むしゃむしゃ頬張って
ときどき
がりがり噛って
ときどき
ぽたぽた垂らして
ときどき
くちゃくちゃ音立てて
椅子に座って
継母の言い付け通り
大人しく食べてるお姫様
全て平らげたら
お城には誰もいなくなりました

イカれた瞳と
ラリった言葉を持つ
壊れたヒーロー
イカれた瞳に映るボク
ラリった言葉返すボク
何が真実？
何が偽り？
今のヒーローには
それすら分からない薬物依存
お子様の時間は終わりだよ
涎を垂れ流したヒーローの
最後に聞いた言葉

河原に映る顔に爪を立て
波紋に歪む顔に紅い雫を落とす
ただの自己満足
証の如く刻んだ傷
薬じゃ消えやしない古傷に
寂びた爪を落とす
道標は長く
遠い方が都合が良いだけ
髭をピンと張った
紅い爪を持つ白猫の
ただの口癖

太陽を見つめるヒマワリと
人に踏まれるタンポポと
違うところを比べてみたら
少しは勇気が持てた
種を地に落とすヒマワリと
種を空に飛ばすタンポポと
似ているところを比べたら
少しの勇者が強くなる
どんな弱者も
次が有るから歩き出せる
どんな強者も
歩き出すから手を差し伸べる
拾ったヒマワリの種も
捕まえたタンポポの種も
一つ一つに意味が有るから
拾った意味も
捕まえた意味も
決して無意味では無いはず

月に魅入られた仔兎
地に魅入られた仔兎
別に深い意味なんて無い
ただあそこに仲間が居るから
見つめてた
手の届かない月の兎
手の届かない地の兎
互いに手を伸ばすも
掴めるものは形の無い空気だけ