「あの人はもうすぐ死ぬよ」私の中の“何か”がそう囁いた。その声は幻聴か能力なのかは私にも分からない。誰にもわからない。「あの人は死んだよ」またあの声だ。私は「そう…」と答えた。誰だか分からない声。耳を澄ますといつも聞こえる。ただ、一つ分かるのは私の中の“何か”は結局“私”なのだと暗がりの向こうで“何か”が笑ったのは夢か将又現か……
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