肌を撫でる 恐怖の足音 闇の隙間から 斬り付ける ─‥ 瞬きもせず 赤い眼を凝らし 怯え立つ 胸を裂いて 差し出せと こればかりは 差し出せぬと 赤い涙を 流すばかり ─‥ やがて赤は 闇をも染めた ─‥ 闇の終わり 訪れる頃 何事もなく 陽は昇り この世は 美しき世界と 無情なまでに 謳うばかり ─‥。
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