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夕凪の部屋


[183] 秋の蝶
詩人:夕凪 [投票][得票][編集]

あなたが
この世を去った
七日目の午後

部屋の窓を開けた
私の傍に
綺麗な黄色の蝶が
ヒラヒラと
この体を
包むように訪れた‥

それは優しく
私の寂しさを
慰める様に
しばらく私を
包み込んだ後

西の空の方へ
飛び去り
気づけば
あっという間に
見えなくなった‥

あれは
あなたですね‥

西の彼方の
極楽へと
旅立つ前の
最後の母の優しさ‥

そう感じたのです‥。

その日の夜、
浅い眠りに
いつの間にか
泣いていた私の

右の手のひらを
トントントンと
温かな指先が
何度となく
触れたのです‥

あれもきっと
あなただったのでしょう‥

あの感触は
確かにあなたの
指先でした‥

私は
あなたの死の
その最期の
安らかな顔を
見たとき

生まれて初めて
人の生きる意味を
知ったのです‥

それは全て
最愛のあなたが
見せてくれた
贈り物です

苦しみや哀しみ
そんな感情さえ
感じさせない
神々しい死に顔を見て

私は心から
あなたに
感謝の涙を
流しました‥。

寂しさは
訪れるでしょう‥

もうあなたの
亡骸さえ
触れる事は
出来ないのだから‥

それでも
あなたは
生き続けるのです

八百万の神と共に
私の傍で
風となり
光となり
時には雨となり‥

全ての神と共に
あなたは
私を包むでしょう‥

あなたの‥
お母さんの魂は
目には見えずとも
感じられるのです‥

息を引き取る直前
最期の瞬間に
あなたが流した涙を
私は忘れない‥

どうか‥どうか‥
安らかに穏やかに
その魂を解き放ち
お眠り下さい‥



ありがとう‥
ただ、ただ
ありがとう‥

あなたは
私が一番愛した人‥
最愛のお母さん‥

ありがとう‥

ごめんねじゃなく
ありがとうを
心から伝えたい‥

あなたの生き様の
その強く優しい
生涯の全てに

ありがとう‥。
本当にありがとう‥。

あなたの娘に産まれ
大切に育てられた
この命を
私は繋いでいきます‥。

お母さん‥
本当にありがとう‥。

2012/09/30 (Sun)

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