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夕凪の部屋


[92] 残された杖
詩人:夕凪 [投票][編集]




 寒い冬の日
 電車に飛び込んだ
 あの老人の

 孤独を知る者は
 何処にもいない ‥




 線路脇に残された
 灰色の杖

 取り除けない
 最期の残骸 ‥






 私は泣いた

 途方に暮れて
 動けず泣いた








 私の乗った電車に
 飛び込んだ老人




 知らない老人

 杖だけが
 強く焼き付いた






 あの老人の
 本当の孤独は

 今もきっと
 あの杖しか
 知らない ─‥








2011/12/26 (Mon)

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