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ぐっくんの部屋


[98] 六時半
詩人:ぐっくん [投票][得票][編集]

部屋の中に潜り込んだ
六時半のアラームの音
いつもの朝と同じ朝
変わらないね慣れた景色
少し曇ったガラス窓
写っていた自分の顔
疲れきった作り笑い
仮面つけた自分が居た

「死にたい」だなんて
誰にも言わない
心にしまったまま
カギをかけて閉じ込める

素晴らしい夢はなくて
現実も見えてなくて
今もとりあえず
生きてるよこの部屋の隅で
触られるのが嫌だ
嫌われるのが怖い
芝居うってだましてんだよ周りの皆を

左の靴と右の靴
色違いが残っている
その靴を履いていた
懐かしいね昔の事
左の靴と右の靴
今もずっと残っている
今はもう履いてみない
おかしいぞって
笑われるから

「泣きたい」と思う
その気持ち
瞳にしまったまま
声を消して閉じ込める
強い意志なんてないよ
受け入れるつもりもないよ
ドアの前で立ち止まってる
脅えているんだよ
笑われるのが嫌だ
間違えるのが怖い
いつからだろう
だましてんだよ
自分の事さえ

死にたいんだ生きてるから

生きてるから泣きたいんだ

脅えてんだ震えてんだ

生きてるから感じるんだ

自分が思うその気持ち
どれもが本当
仮面つけたって自分さ

素晴らしい夢じゃなくても
現実が見えてなくても
今も必死で生きてるんだ
この部屋の隅で
笑われるのが嫌だ
嫌われるのが怖い
いつもそうだよ
ずっとそうだよ
生きてるんだから

体の中に取り込んだ
六時半の外の空気
昨日の朝と違う朝
変わったんだ慣れた景色
赤くなった濡れた目と
白くなった自分の息
暖かい自分が居る六時半の朝

2006/01/20 (Fri)

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