詩人:番犬 | [投票][編集] |
朝起きて
カーテンを開ける
好きな女にメールをし
夕べの残り物を食い
歯を磨く
布団を片付け
通勤の支度をし
靴を履く
扉の向こう側で今日が待つ
楽しむ為の
笑う為の
悩む為の
同じように続くであろう
退屈な日々
しかし最高に幸福な日々
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なぜ詩を書くのか
その問いの答えが見つからない
書き続けていれば見えてくるものかと思いひたすら書き綴る
自分の孤独を表す為に書いてはいるが、読み手様にとっては書き手が込めた心など二の次
自分がどう受け取るかだけに興味があるらしい
それが分かった時
俺のペンはステップをやめた
紙のステージから降りて涙を流していた
自分の心が伝わらないと分かっているのに、詩を書かねばならぬ理由が未だに見つからない
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どうも詩が書けない
それらしい言葉の羅列を繰り返すだけ
昔に他人に吐き捨てた子供の作文、それと変わらない今の俺の作品群
今の俺は詩人とは名乗れない
状況説明の文章を書くだけで、心を込める事を恐れている俺に、その資格があるとはどうしても思えないから
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どんなに遅かろうが一度開いてしまえば花は花だし、どんなに不細工な形だろうと咲いてしまえば花は花だ
今やるべき事は、咲いてくれるのかくれないのかを気にするよりも、一刻も早く目の前の土を耕し多くの種を蒔く事だし、雨や晴れや雪のタイミングを間違えない事だ
空との会話は無駄にはならないと、多くの偉人の結果は証明してきたぞ
死ぬ前に名誉や尊敬を集めたいなら、死ぬまで他人の評価を気にするのなら、どうか俺の前から消えてくれないか
たとえ100の内の99が土の中でその一生を終えたとしても、残りの1が背負ってくれる事を忘れるな
時々の洪水や地上を震わす稲光、アスファルトさえ沸騰するかのような灼熱の日照りもあるだろうが、その末で咲いた色の鮮やかさをもてはやされたいなら、どうか俺の前から消えてくれないか
俺が求めるのはそんな見せかけやラッキーや場当たり(咲く花の色は誰にも決められないからな)じゃなくて、お前自身が流した汗や腕の汚れの輝きだ
咲くかどうかも分からない種でパンパンに詰まったお前のポケット、蒔いて蒔いて毎日蒔いても増える事はあっても減る事はない
だから空腹におびえるな、種を蒔け
足らなくなるかもしれない、足らない足らないと不満を漏らすだけなら、いつか見た映像の繰り返しだ
俺やお前が見たいのはそうじゃなく、自分の手で耕した土の上で咲き誇る(咲かないかもしれないが)花に象徴される、とてつもなく偉大でシンプルでタフな情熱だ
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二年前
俺の好きな女は
幼い顔のセミロングヘア
不眠症気味な
17歳の娼婦だった
媚びを売り
金を受け取り
体を任せ
朝には消え去る
一人の娼婦だった
好きな音楽は
BUMP OF CHICKEN
少しメンタル系
どこにでもいるような
普通の女だった
俺のあごひげに
額があたるぐらいの身長
肌が白くて
化粧が苦手な
幼い女の子だった
レミオロメンの粉雪が
俺の背中によく似合う
そう言って聴かせてくれた
背中の小さな
寂しそうな女だった
一晩の相場は
たった二万円
私は時間を売っている
そう言って笑う
プロの娼婦だった
星を見上げ
想い寄せながら
一人眠る夜に
他の男に体を重ねて
笑ってられる娼婦だった
好きで
好きで
死ぬほど好きで
殺そうと思った
何度も思った
二人で一緒に
死にたいと思った
殺して
殺して
そう言われる度
不思議だけど
幸せになれた
たとえそれが
歪んだ希望だったとしても
二年前
俺の好きな女は
愛されたいと願う
底なしのバケツ
17歳の娼婦だった
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なあなあ
俺の親友さんよ
いままでの分析の結果だけどな
いや
俺の秘密の研究が完成したんだ
けっこう苦労したけどね
答えはあっさりしたもんさ
腐った概念が地球儀を回してやがったよ
笑っちまうぜ
奴ら自分らを弱者だって考えてやがる
おいおい
奴らは一肌脱ぐのが勿体無いだけだよ
もちろんそれは他人様の為にはって事さ
好きな女を抱くためならば
1リットルの汗だって流せるくせに
困った他人を見かけたら
知らんぷりしやがるんだ
うひゃひゃひゃひゃ
誰だってそうなはずさ
誰も責めやしないだろうぜ
俺様以外は見下しもしないし
俺様以外は当然だと思ってくれる
それでいいから
今までそうやってきたんだろうな
もしも自分がそんな奴なら
反吐撒き散らして死んじまいたいけどな
うひゃひゃひゃひゃ
自分の権利が一番
自分の欲を叶えるのが一番
他人様は踏み台です
自分の言葉は自分の為に
自分の人権は他人様も持ってますよ
関係ないですよね
ああ
もちろん俺にも関係ないね
支離滅裂な言葉ではぐらかしちゃいるけどさ
俺は思うよ
もしも人の心が顔に現れたなら
俺にはほとんど見分けがつかないだろうなって
つまんねえんだ
つまんねえんだ
奴らの弱さ基準で動く地球儀を眺めてたってな
腐った概念?
ああ
まあそういうことさ
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俺の手に比べれば
はるかに小さなお前の手
握りしめて
抱き寄せた
そして今
お前の心が
寒いと言って
ふるえている
罪と罰
希望に満ち溢れた話は
俺たちには遥か遠い
お前の瞳と
深い哀しみのコラージュ
俺は黙って
何も言わずに
それを見続けていた
なにがこうさせたか
どうしてこうなったか
俺たちには何一つ
理解できる訳もなく
ただ時間が落ちていくのを
まるでガラスの外の
傍観者みたいに
黙って見続けていた
何度も汚れては
洗い流して
また汚れては
洗い流す
もう疲れてしまった
俺もお前も
この煉獄の深みからは
決して救われない
自分を傷つけ
自分を嘲笑う
自分を見下し
自分を罵る
自分は無価値だと
自分が決めた
そんなお前の横顔に
俺は何を思えばいいんだ
視界が歪む
心臓が軋む
背骨が曲がる感覚
凍てついた炎が
心を焦がす
初めて知ったよ
人を想うという事が
こんなに苦しいものだとはな
殺してやる
お前を苦しめる存在全てを
殺してやる
ちっぽけな希望とやらまで
殺してやる
お前の暗い笑顔の根元ごと
殺してやる
お前がどこで震えてきたのか
殺してやる
俺だけは知っているから
殺してやる
どうせなにもない
殺してやる
お前の痛みが消えるように
殺してやる
お前の大切な物全て
殺してやる
もう苦しむな
殺してやる
俺もお前も
殺してやるんだ
惨めな惨めな呪われた命をな
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何億人もの人がいて
何万人もの教師がいても
彼らから学んだ物は
空っぽな記憶の塊
僕のこれからには
不必要な物だから
ゴミ箱に捨てて
荷物を減らすのさ
このポケットにはそれよりも
大切な物を詰め込んでやる
足跡を刻んで
種をふりまいてたら
何万キロも続く青空の
雲の彼方にも行ける気がして
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光とか闇とかよく使われるが
あいにく興味ないね
そんな単純な言葉で表現できるほど
俺の世界観は甘いもんじゃないしな
楽なもんだ
たったそれだけで
自分の孤独が表現できたと
満足できるのなら、な
恋人を失ったとか
友達がいないとか
裏切られたとか…
そんな物がお前の孤独の理由なら
この世に共感者は大勢いるぜ
よかったな
仲間がそこら中で求め合ってる
お前はきっと幸せ者だ
決して俺とは相容れない
俺の孤独は俺の世界観
俺だけの持ち物
俺だけの友
共感者は皆無
だがそれでいい
俺は俺
感情の共有など必要ない
樹氷の原で一人
前だけを見据え立ち尽くす
空は晴れ
風は吹き荒れ
雪が走る
そこからの風景を書き記す
他人には決して見れない世界
それを他人様に見せようとする
不可能な神の御業に挑むがごとき足掻き
それが面白い