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番犬の部屋


[36] バルバロイ
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地図に表せば

たった少し

2、3ミリの線の為に

多くの砲弾と

多くの肉片

多くの年月を重ね

憎しみとなり

それらが飛び散っている

学校は学校ではなくなり

重火機の引き金の感触と

戦う為の歴史が

そこにあるだけだ

荒れ果てた山岳が墓場

望まれなかった暴力と

望まれなかった妊娠

双子みたいな悲しみが

すがりつく私生児のように

未婚の母を見つめている

弱い者の抵抗をテロと呼び

強い者の支配を対テロ戦争と呼ぶ

こびりついたプロパガンディズム

炎の温度は上昇を止めないが

人の情熱は冷めていく

昔の夢の体温も冷めていく

勇猛なチェチェンよ

お前の国は勝つのだろうか

後悔はしないのだろうか

そこまで失ってでも

勝ち得たい物の正体を

豊かな国の人である俺に

抵抗を忘れた人である俺に

教えてはくれないか

2006/11/18 (Sat)

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