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番犬の部屋


[4] 無題
詩人:番犬 [投票][得票][編集]

静かなエルニーニョを

俺は感じている

本当さ

焼け付くんだ

君らも何かは感じている筈

ただ何も抵抗しないだけ

知ろうとしないだけ

無関係であればいいのだから

なあ教えてくれよ

月まで届く札束の山で

どれほどの物が買えるのか

どれほどの争いを起こせるのか

ほら

見ろよ

叫んでいるじゃないか

どこかの瓦礫の街の子供たちが

拳を握りしめて

脇に銃を抱え

何かに怒っている

その手は抱きしめることを知らない

何かを背負って生きることが

どれだけ幸福なことかも知らない

遠い場所だけじゃなく

すぐ側を見渡せば

似たり寄ったりの出来事ばかり

どんなに素晴らしい芸術家も

狡猾な政治家には勝てない

本当さ

知るがいい

人の命は石油と株券に劣り

ダイアモンドは体制を左右する

流れる雲の形の素晴らしさより

口座の0の数を賞賛する

無数の雨粒の恵みへの涙より

無数の銃弾の殺戮に溢れつつ

世界のカレンダーは止まらない

あの天使のような子供たちは

初めは祝福された筈だった

それがそのうち

神への恩返しの為に消えていく

削られ捲られ剥がれたソウル

ハリジャンもダリットもアヴァルナも

ガンジーは否定しなかった

置いてけぼりの貴族主義さ

何も

2006/11/12 (Sun)

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