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番犬の部屋


[51] 悪ガキの時代
詩人:番犬 [投票][得票][編集]

俺とお前
同じ下町
裏路地で育った
同じようなボロの家
汚い服で泥と汗まみれ
まるで兄弟みたいに
毎日顔を合わせ
喧嘩したり
河原で遊んだり
泊まりに行ったりさ
なあ覚えてるか…?
秘密基地なんて
すぐバレるようなもの
心底楽しんで
スリルみたいな絆を作ってたよな
俺達に涙は似合わなかった
だからお前の死に際も
他の奴らは泣いてたが
俺は涙を流さなかった
お前の親父の肩を叩いて
もう戻らない扉を閉めた
ヘッドライトがやけに眩しい
病棟からの帰り道
一筋のほうき星
どこまでも透明な空の下
冷たい響きのアスファルト
少しだけ泣いてもいいだろと
街の暗闇に甘えた俺がいた
悪ガキだったか?
俺達はさ
ただがむしゃらに
走ってただけだよな
お前は速すぎた
メーターなんか目に入らなかった
悪かったのは俺達じゃない
進んだ道が荒れてただけさ
人の白い目なんか
少しも気にならなかった
大人って奴らがよく言う
若気の至りなんかじゃない
人を殴るのも
街角の女をからかうのも
退屈な街を少しだけ
違う場所から眺めたかった
ただがむしゃらに走ってただけだ
そんな俺達は悪ガキだったのか?
誰か教えてくれないか?
きれいな星の空の下
中指立てて
生き続ける事が?
優しさなんか便器に捨てて
ただ肩を抱き合えばよかった
わざとらしい誉め言葉は
俺達の間に必要なかった
心の中の太陽に
センチメンタルを投げ捨てて
アウトロー達が持ち寄った花束を
似合わないよなと笑いあった
他の奴らは泣いてたが
俺達に涙は似合わなかった
ただそれだけだった

2006/12/16 (Sat)

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