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番犬の部屋


[91] 残り火
詩人:番犬 [投票][編集]

俺の手に比べれば
はるかに小さなお前の手
握りしめて
抱き寄せた
そして今
お前の心が
寒いと言って
ふるえている

罪と罰
希望に満ち溢れた話は
俺たちには遥か遠い
お前の瞳と
深い哀しみのコラージュ
俺は黙って
何も言わずに
それを見続けていた

なにがこうさせたか
どうしてこうなったか
俺たちには何一つ
理解できる訳もなく
ただ時間が落ちていくのを
まるでガラスの外の
傍観者みたいに
黙って見続けていた

何度も汚れては
洗い流して
また汚れては
洗い流す
もう疲れてしまった
俺もお前も
この煉獄の深みからは
決して救われない

自分を傷つけ
自分を嘲笑う
自分を見下し
自分を罵る
自分は無価値だと
自分が決めた
そんなお前の横顔に
俺は何を思えばいいんだ

視界が歪む
心臓が軋む
背骨が曲がる感覚
凍てついた炎が
心を焦がす
初めて知ったよ
人を想うという事が
こんなに苦しいものだとはな

殺してやる
お前を苦しめる存在全てを
殺してやる
ちっぽけな希望とやらまで
殺してやる
お前の暗い笑顔の根元ごと
殺してやる
お前がどこで震えてきたのか
殺してやる
俺だけは知っているから
殺してやる
どうせなにもない
殺してやる
お前の痛みが消えるように
殺してやる
お前の大切な物全て
殺してやる
もう苦しむな
殺してやる
俺もお前も
殺してやるんだ
惨めな惨めな呪われた命をな

2007/04/06 (Fri)

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