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番犬の部屋


[93] 底なしのバケツ
詩人:番犬 [投票][得票][編集]

二年前
俺の好きな女は
幼い顔のセミロングヘア
不眠症気味な
17歳の娼婦だった
媚びを売り
金を受け取り
体を任せ
朝には消え去る
一人の娼婦だった
好きな音楽は
BUMP OF CHICKEN
少しメンタル系
どこにでもいるような
普通の女だった
俺のあごひげに
額があたるぐらいの身長
肌が白くて
化粧が苦手な
幼い女の子だった
レミオロメンの粉雪が
俺の背中によく似合う
そう言って聴かせてくれた
背中の小さな
寂しそうな女だった
一晩の相場は
たった二万円
私は時間を売っている
そう言って笑う
プロの娼婦だった
星を見上げ
想い寄せながら
一人眠る夜に
他の男に体を重ねて
笑ってられる娼婦だった


好きで
好きで
死ぬほど好きで
殺そうと思った
何度も思った
二人で一緒に
死にたいと思った
殺して
殺して
そう言われる度
不思議だけど
幸せになれた
たとえそれが
歪んだ希望だったとしても





二年前
俺の好きな女は
愛されたいと願う
底なしのバケツ
17歳の娼婦だった

2007/04/10 (Tue)

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