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椿 みなと(元 華々)の部屋


[326] 海に抱かれて
詩人:椿 みなと(元 華々) [投票][得票][編集]





海の中で
丸まって
ぷかぷかと浮いてみた

水の音と心臓の鼓動の音
それだけが私の耳に木霊して
身体中を柔らかに駆け巡る

体温は海水に奪われているはずなのに
身体中が熱を帯びていくのが分かる

嗚呼、
生きている
私は、確かに、生きている

その感覚が強く強く
私の頭脳と心臓をくすぐっていく…

普段なら無意識にしている呼吸も
呼吸をしなくては
と、
意識的に思い
身体をくるりと転がし酸素を吸った
新鮮な空気が身体の末端まで
駆け巡っていくのが分かる

嗚呼、
生きている
私は、確かに、生きている

その感覚が強く強く
私の頭脳と心臓をくすぐっていく

私の感情は心臓を飛び出し
眼から涙が溢れ海の一部になった

大きな大きな自然に今
私の身体から出た涙は抱かれているのか
そう思うと不思議な安心感に包まれた

実を言うと
私は生きることに疲れていた
とっても、とっても

そう、
息をすることも面倒な程に

だが、
本心は生きたかったようだ
息をしなくてはと
酸素をさがし空気を吸い込んだ私が
紛れもなく
それを、証明している

また
私の心臓から飛び出した感情が流した涙も…





生きてみよう
生きていよう
生きていたい


海から顔をあげた私は、
まるで赤ん坊の産声のような
力強い意志を持っていた




2016/03/12 (Sat)

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