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椿 みなと(元 華々)の部屋


[341] 私と厠と、そして…(編集済)
詩人:椿 みなと(元 華々) [投票][得票][編集]

数十年前、清掃員だった

美しく使われた厠
どうしたらこうなるのかと首を傾げたくなる厠
色んな厠を磨いた

いつも有難う御座います
付箋のある落とし紙に励まされた日もあった

然し或る日、病に負け

食事は戻し、かと思えば過食
夜は眠れず人は信じられず見るもの全てに何も感じない
切りがない程の症状に苦しめられ社会から身を消した

時に調子の良い時は復帰したこともあったが思うようにいかず長くは続かなかった

何でこうなる…
歯がゆい日々の繰り返しに生きる意味を見いだせずただ息のしにくい日々を過ごした

だが神は見放さなかった
家事をこなせるようになり風呂も毎日入れるようになり眠れるように
また、楽しい時は笑い、悲しい時は泣けるようになった

そんな変化を近くで見守り気にかけてくれていた知人がいた
嬉しい変化を話すと、丁度いい!引越し先の中古の家を体慣らしに二、三日間清掃しにこないか!との話

断る理由などない、引き受けた
その日が来るのが待ち遠しく日々に更に光が加わった

そして今日、緊張と、期待の朝を迎えた
うまくやれるだろうか…兎に角、一生懸命頑張ろう

こんなに思いを込めた
行ってきますは、どのくらいぶりだったろうか…気持ちがよかった

厠、風呂、流し台などの水周りの清掃
その他もろもろ沢山の仕事を頂けた

こんなにも信頼して頂き期待を寄せて貰ったのは久々で
笑みが自然と零れた
そして身が引き締まった

まずは厠から始めることにした
仕事として厠を磨くのはどのくらいぶりだろう一生懸命に磨いた

こびり付いた尿石は私を苦しめた日々のように本当にしつこかった
ひとつ残らず取り除き磨き上げた
そして風呂を掃除した

今日の作業は気遣ってくれた知人の計らいによりここまで

いい汗をかいた実に気持ちがいいものだ

清掃後
こんなに、綺麗になるんだね専門は違うね本当にお疲れ様
と職人として私を扱ってくれ心から労ってくれた感謝である

ほっとしたら深い疲れが来た…然し心地の良い疲れだ

別れ際
明日も宜しく!の言葉

貰った言葉の数々に数十年の時間が流された
心も磨かれた瞬間であった

明日も一生懸命頑張ろう

2018/10/12 (Fri)

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