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リコの部屋


[38] うとうと橙色
詩人:リコ [投票][編集]

日が暮れて
母さんの
いない
私の部屋




橙色に
私を包むよ
電気ストーブ



あまり
おまえに
近寄り過ぎれば


セーターが焼け焦げて
穴が開いてしまうけど



おまえの熱が
無かったなら



手足と心は
凍えひび割れ
震えてしまうよ




おまえの橙色が
無かったなら




この部屋は
天井に取り付けられた
小さな灯だけ



なんて暗くて
なんて寂しい





私が小さな子供の頃

母さんが好んでよく着ていた
オレンジ色の洋服




火傷を負うほど
くれた
穴が開くほど
くれた
母さんの熱の時代に

吸い込まれていくように




今も昔も



うとうと
うとうと
する私




私のお腹に
そっとかけてくれた



橙色のカーディガン



布に染み付いた
セブンスターの匂いが



電気ストーブの
蜃気楼に
漂い
香ってくるみたい




2006/02/24 (Fri)

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