詩人:リコ | [投票][編集] |
虚無を噛み砕く様に
揚げ煎餅を
バリっと一つ
砕けた甘辛い粒が
上の歯へ
下の歯へ
それぞれ
張り付き
口を開けば
ハイサヨナラ
口を閉じれば
ハイコンニチワ
脂っこい粒と粒
ガチガチガチガチ
おまえとあたしみたいだな
今
とっさに
浮んできたんだ
今日は特に
灰色だったから
全てをおまえのせいにする
絶好の日和だった
こんな具合の
こんな感じ
頼りない
記号達が
ひゅんひゅん
ひゅんひゅん
戯れ合って
普遍とは真逆の
とてつも無く
人間らしい
この崩れやすい
感情の記号化供を
言葉に返してやる方法を知る事が出来るのは
学ですか
その場所は
エゴですか
その心は
いや
もう何も言うまいよ
あたしは粒だ
甘辛い
小さな粒だ
虫歯に詰まった
甘辛い石
これは
おまえだろうか
あたしだろうか
それとも
ただの
煎餅のカケラだろうか