詩人:アロー | [投票][編集] |
朱色なる茜空に母の声は懐かしくも響き渡り
群れ飛ぶ鳥達の向かいし稜線に眼差しを送る
過去の賑わいはふと想うほどに失われつつも
淡き優しき斜陽の色合いに面影映す川面あり
反射して眩むるは双眸を惑わすは褪せた朱色
暮れゆく空を眺めては鳴く姿が暗闇に消ゆる
あの頃に見し風景の我が拠り所となりし歳月
誰そ彼は…
彼は誰そ…
稜線にこだませし哀鐘の音の呟きが我を呼ぶ
古きは良きと美しきを知る晩秋の夕暮れ時に…
詩人:アロー | [投票][編集] |
細く切れそうな糸に鋏を当てて
繋がりのない希薄な世界を想像してみる
何よりも求めている事が哀れに思えて
刃先で静かに糸を撫でながら考えた
断ち切っても気づかれないのなら
何よりも本当はそれが怖いから
本当はそうなる事を知っているから
鋏を持つ指はいつも動かないままで
後悔すら出来ない夜ばかりを過ごす
そして糸の向こうで鋏を構えるのが
果たして自分だけではない事を思うなら
それはきっと独りよがりなのでしょう
きっと再び鋏を手にするのでしょう
手に取る糸すらなかったとしても
繋がりのない希薄な世界を望むのでしょう
詩人:アロー | [投票][編集] |
許しているのはあなたじゃない
あなたが許されているだけ
だからあなたは気づかない
いつまでも気づかない
偽りの笑顔に囲まれてるから
冷めた視線には気づかない
詩人:アロー | [投票][編集] |
七つ色した祝福が貴方の真上に訪れし
確かなりし愛が其処に在りし事を告げ
今はもう開く事のなきその瞼に触れて
穢れなき涙が人々の頬をつたい落つる
偉大なき尊大なき尊称なき名すらなき
その慟哭の静けき調べ
やがては重奏の鎮魂歌
ただ心は虚空に還りて
夜明ける事は不変なり
七つ色した祝福が貴方の真上に訪れし
幼きは産声をあげ母なる胸に抱かれし
父なる腕に抱かれし愛が其処に在りし
確かなりし愛が其処に在りし日の空よ
詩人:アロー | [投票][編集] |
虚空にぞ舞ひ起つる一羽の想ひ
ひいらひいらと誰彼の間をば
在っては在りし
無うては無し
現世に想ひ残りしは言の葉を遺し
在っては在りし
無うては無し
ひいらひいらと舞ひ起つる
ひいらひいらと舞ひ起つる…
詩人:アロー | [投票][編集] |
結論として育つ愛
幸せはそこに在り
笑顔でいられる事
毎日を積み重ねて
僕には少なくとも
それが君だった事
何よりも君に感謝
だからこれからも
君は何より一番で
その笑顔を守る事
ふつつかに生きる
僕が誓った十年目
こっそりと誓った
十年目の愛と結論。
詩人:アロー | [投票][編集] |
訪れをば告げて舞い散る銀杏の並木
まるで金色の絨毯のように積もりて
秋空の薄けき彩りに調和せん
やがて目に見ゆる景色は絵画となり
順よく朱に染まる山々を遠くに重ねん
すなわち心の温もりは
秋に覚えて冬を待ち
次第に色を失いゆく世界を眺むれば
それもまた趣ありと覚えゆく
深まりを重ね合わせし中秋のひととき
溶け重なりて我は知り
冬の訪れの間近なるを空に眺めん
詩人:アロー | [投票][編集] |
与えられし価値たりとて
守るべき価値のある
戦争を知らぬ世代の
戦争を放棄せし国で生くる
当前の価値観なるは
そう理解せし事の意味を
世界でこそひとつきり
この国に根付きし可能性を
守るべき価値はあるか
示す意志こそ誰の為にや
示さぬならやがてその身に
決して約束の果たされぬは
ある日にその右の手に武器を見ん
愛
国
心
新しき価値は左足への縛鎖となりて
やがては贖いの意志こそ蘇らん
ならば贖いの意志こそ今に示さん
詩人:アロー | [投票][編集] |
集合せし意志
群ゆくは弱さ
正しきを知り
知りて見失う
是を善しとし
庇護せしは己
嫌悪せしは己
内なる裏切り
誰彼も咎めん
ならば歩みて
群れゆく己を
夢見し凡夫と
内にて蔑むは
潔くも愚かな
凡夫なる証明
夢見し凡夫と
内にて蔑むは
潔くも愚かな
凡夫なる決意