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琴の部屋


[5] 本当
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ただ自然発生した生き物は
生きる意味を考えて
糧を求め 夢を持ち
憧れを追いかける
そのために何かに属し
将来ばかりみて
周りを気にしては
嫌われないように過ごす日々

他を認めず毒ばかり吐き
自分の事は棚に上げるが
周りからは認められることなく
結局独りで堕ちていく

いつの間にか常識を押しつけられ
したいことをする前に
ルーティーンを繰り返し
ルールのレールに乗って
大きい道だけを歩いていると
気づいた時には枯れている

死を恐れ紙切れで命を買い
時間は苦しみと共に過ぎていく

多数決で正解を決め
それが正しいと誰もが錯覚し
白い眼は少数派に向けられる
目立つ事をすれば「仲間」
という枠から区別され
弱いものが本当の強さを持つものに攻撃する

皆のものなのに
領土などを気にして
同じ生き物が殺し合いをする

ただの紙切れに踊らされて
したかったことも達成出来ず
信頼を失い
大切なものは去っていく

そんな生き物は「人間」というらしい
「人間」が作り出した濁った世界
そこで生まれた私もその1人

唯一の救いは
人間に「心」があること
心だけは濁らせず
透き通る眼で見た世界は
綺麗な色に染まっているはず

そんな事を考えた
灰色の空の下
コンクリートの隙間で生きる花に
色を感じたとき
私は「本当」を見つけた気がした



2013/02/13 (Wed)

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