ペダルを思い切り踏み込んで

君に会いに行こう。


走れ 走れ

ペダルがまわる。


私は笑顔になる。



ペダルを思い切り踏み込んで

愛しきあなたに会いに行こう。



ブレーキかけたその時に

あなたの笑顔が待ってますように。

深夜の空気を吸ってみた。

空を見上げて、目を閉じて。


ああ、春のにおい。


風に吹かれた桜の花びらが

月明かりの下、ひらひら舞い落ちる。



もうすぐ初夏のにおいに変わるだろう。



来ていた上着を一枚脱いで、

さあ いらっしゃい。

一口かじった毒リンゴ。

普通のリンゴだと思ったのに。


一口かじった毒リンゴ。

早く来てよ、王子様。


あなたのキスで目覚めさせて。

その腕に抱かれてみたかった。

白く、しなやかな腕。


傷跡のある腕。


きっとあの腕に抱かれたら、

涙が止まらないだろう。

自由になりたい、と書き残し

世界に紛れた彼女。


彼女をフランスで見た人がいる。

彼女をニュージーランドで見た人がいる。

彼女をカナダで見た人がいる。



しかし彼女はその人たちを、

空高くから見ていた。

私はただ、

自由になりたい。

それだけなのです。



たった３行の文章と、

大好きな夏の花を添えて。




彼女は世界に紛れた。

従姉妹が隣で寝てる。

その体温、その規則正しい寝息。

時たま寝返り打ってくっついてくるところ。

何か、愛しいな。




私が赤ちゃんだった頃、

母親もそう感じてくれてたのかな。



風邪ひかないように、何度も布団かけ直して。

寝顔見て嬉しくなって。





誰かが隣にいる、幸せ。



なんだかちょっと泣けた。

まっぴんくのロングスカート。

柄々のタンクトップ。

グラデーションの大きめなストール。



傷だらけの腕をさらけ出せるのは、人影のない真夜中。



ストールを思い切り広げて、

スカートひるがえして、

音楽聞きながらくるくる回る。




少しずつ花開く桜と、雨上がりの夜空に浮かぶ月の下。


何だか少しだけ、自由になれた気がした。

泣いて泣いて泣いて。


それでも、


その後に笑えれば。


それでいいじゃん。

すれ違った人が笑ってた。

道の反対側でスキップしてる人がいた。

楽しく食事してる家族がいた。

手を繋いで歩く恋人達がいた。

歌いながら歩く小学生がいた。

花束抱えた男性がいた。

薬指の指輪を愛しそうに触る女性がいた。


そんな人たちをみて、

幸せになる私がいた。