不器用で非力な左手はもう片一方の言う事を聞こうとしない利き腕は自由にやりたい事するのに左手は夢の中でだけ掴みたいものを掴めるリアルは利ある者にだけ優しく微笑むだって左利きのコーヒーカップなんて誰も作ったりしないから左回りの時計でぼくは時々懐かしい場所へ帰る乗り方は知らないけどいま立ってるホームの足型は白線を越えずに踏みとどまっている
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