詩人:矢井 結緒 | [投票][得票][編集] |
昔風のリボンふたつ
頭に咲かせて
リンリン消魂しい声で
わたしを起こそうと
毎朝、虎視眈々
唐草模様の帯を
身体に巻いて
チクタクくちずさんで
わたしを急き立てて
毎日、天津爛漫
けれども最近
お年のせいで
あちこち錆付き
草臥れ果てて疲れ気味
時折、居眠りしてる肩を
ポンと叩くと
ハッとしたように動き出す
あなたが一秒ごとに刻む
わたしの一瞬一瞬
大事にするから
明日の朝も起こしてね
その前にたぶん
その五月蝿い口を塞ぐけど
背中のゼンマイ
ギリギリ巻いて
まだまだ現役
中国は天津生まれの
アンティークばあちゃん