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矢井 結緒の部屋


[91] おばあちゃんの時計
詩人:矢井 結緒 [投票][得票][編集]


昔風のリボンふたつ
頭に咲かせて
リンリン消魂しい声で
わたしを起こそうと
毎朝、虎視眈々

唐草模様の帯を
身体に巻いて
チクタクくちずさんで
わたしを急き立てて
毎日、天津爛漫

けれども最近
お年のせいで
あちこち錆付き
草臥れ果てて疲れ気味

時折、居眠りしてる肩を
ポンと叩くと
ハッとしたように動き出す


あなたが一秒ごとに刻む
わたしの一瞬一瞬
大事にするから
明日の朝も起こしてね
その前にたぶん
その五月蝿い口を塞ぐけど

背中のゼンマイ
ギリギリ巻いて
まだまだ現役
中国は天津生まれの
アンティークばあちゃん

2009/08/24 (Mon)

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