詩人:山鳩 | [投票][編集] |
透明なビンを陽に透かしてみたら
あの日の想い出がよみがえるんだよね
君が僕にくれたたったひとつの贈り物
ビンのふたを開けると海の匂いがするんだ
ターコイズブルーのガラスの欠片や
白い砂粒にそれに穴の開いた貝殻とかね
砂浜で時間を忘れてしまうくらい
二人でしゃがんで集めたよね
そうなんだ想い出の詰め合わせなんだよ
想い出が立ちのぼってゆく
けむりのように
すうとあの高い秋空にむかってね
それをうみねこが啄ばみ
かもめが浚っていったよ
実に哀しみの目をしてね
やがて目が覚めて
僕の手には何も残らない白昼夢