詩人:やまーのふ | [投票][編集] |
内心、俺は非常に焦っていた。内臓が煮えくり返りそうだった。いつもと同じ、何事もなくただひたすらにへらへらと笑顔で道化を演じ続けた。
誰にも、
誰にも絶対にばれない自信があったから。絶対にわかりっこない。誰も気付くはずない…そう、思っていた。
でも実際は違った。
一人だけ、
たった一人だけ、
愚かな道化を演じる、本当の俺に気付きやがった。
何故?
台本通り、完璧のはずなのに。
何故?
俺は何一つミスをおかしたつもりはない。
何故?
【それ】がいけなかった。
答えはいたってシンプル。
おなじ『演技者』だったって事だ。
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それは呪縛。
歪に巻き付けられた黒い鎖の束。
幾つにも刻まれた痕。
365日24時間一分一秒と忘れることのできない、深淵。
望みもしない地獄。
まるで、希望などある事すら不快に感じるほどの、地獄。
我よ、愚かであれ。
汝よ、愚かであれ。
世界よ、愚かであれ。
そして、
音もなく、
滑稽で、
無残に、
容赦なく、
無慈悲に、
ただひたすら、
壊れ続ければいい。
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この世はひどく冷たくて。
死ぬにはちょうどいい場所が腐るほどにあって。
どいつもこいつも同じ様だ。
被害者面して、吐き気がする。
誰もが助けてくれると信じてる。
誰もが救われると信じている。
…だから掬われるんだ。
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―ベキッ…―
心が、
折れる音を聞いた。
やまない不安、悲しみ、恐怖、怒り…あらゆる重圧に耐えきれなくなった心の末期。
僕の中に焼付いた【それ】は、壊れたレコード盤のように何度もリピートされ、さらに僕を不快にさせる。
駄目だ。
抜け出せない、久遠に想える悪夢の連鎖。
ああ。
人生よ、出来ることなら終わってくれ。
もうこの音は、
聞きたくない。