詩人:葉 彩薫 | [投票][編集] |
つまらない
そう思える真夜中の
月の孤独に照らされて
月は太陽に照らされて
また
私は月に照らされて
自分では光れない
誰かに光を照らされて
同じように
いつも同じ顔を見せては
いつも裏の顔を見せずに
すべてを見せているようでわずか一日の表
何故そこにいるの
姿を見せない時は
すべての裏の顔
太陽が月を照らす夜
本当の顔を知りたいのなら
貴方は私の太陽になって
すべてを映しだして…
詩人:葉 彩薫 | [投票][編集] |
一人でいる時の私は
春を待つつぼみのように
じっと寒さに耐え
あなたに会える時まで
誰にも気付かれないように
誰にも見つからないように
あなたのために
綺麗な花びらを 想いを
私のなかに
綴じ込めておくの…
あなたがいれば
春を迎えた花のように
綺麗な花びらを
あなたに見せつけて
他には目を向けないような
ひとつひとつの
綴った想いを
そんな綺麗な彩りを
身に纏って
あなたにも分かるこの香り
その瞬間のために
今日も私は
じっとこの季節
夢を見ながら
春の訪れを
あなたを待っています
詩人:葉 彩薫 | [投票][編集] |
綺麗事ばかりではない世界
優しさを持ち
欲を持ち
思い通りにならないことにストレスを持ち
それでも日々の暮らし
自分の生き方
なんとか向上させたいと
こんな時代なのに
誰かを好きになり
そんな存在を求め
まだまだ足りない自分
救われるのは
その笑顔から
綺麗事ばかりではない世界だから
優しさを持つことに意味があり
思いやることで
手を差し伸べることで
涙を流せるのなら…
心から綺麗になりたい
身体から溢れるように
この
綺麗事ばかりを言う世界
周囲に敏感に反応する
異常なほど可弱き心たち
そんな時代の
こんな世界だから
優しさを持ち
思いやることで
強き心
美しき心
そして…
つつみ込むように…
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詩人:葉 彩薫 | [投票][編集] |
追憶は
淡く美しい
それはいつかは
消えてしまう
虹のよう…
十五才で知った恋
長く伸びた髪を
面倒くさそうにかき上げるクセのあるあなた
綺麗に色づき始めた桜の花びらを知った公園での待ち合わせ
夏のお祭りのあとの語らい
雪がボートを埋める程降っていた日のデート
まるで決まっているかのように結婚するのだと
お互いを見つめ合って来た仲だった
あなたのやさしさに
女の幸せを感じる
そんな日々だった…
追憶は
悲しく 冷たい
それは夜の波間に
ただよう小舟のよう…
政治家の長男で
祖父母や弟妹の上に立つあなた
五人兄弟の末子で
我が儘に自由に育った私
とても彼の妻の座は務まらないと親や兄弟は反対した
家は弟に任せるから
二人で暮らそうと
手をさしのべてくれたあなたの決意
情熱 愛情 それは
うれしい反面
苦しみでもあった…
追憶は
切なく儚い
それは夜空に散る
流れ星のよう…
せまい田舎での
噂話が広がるのは早い
古いしきたりのなかで
親を捨て家を省みない者は
卑怯者のレッテルを貼られ
白眼視される
彼にすがり生きるか
新しい道を選ぶべきか…
悩みに悩んだ末
ある年の春
仕事 家族 恋
すべてを捨てて故郷を去った
あなたに黙ってそっと…
追憶は
遠く懐かしい
それはふるさとの
山や川のよう…
時は流れて 私は
人の妻になり
二児の母親となった
彼も家庭を持ったと
風のたよりで知った
過ぎて行く年と共に
気持ちも環境も変わってしまったけれど
ふと返らぬ
遠い日の記憶 が
閉ざされた私の
胸の扉を叩く
儚い夢
振り返るとあまりにも
幼すぎた私達の恋
私の心のなかで
あなたとの愛の灯はもう消えてしまった
こうして小さな恋の芽は花を咲かすこともなく
つぼみのまま散ってしまった
いま…静かに
青春の日の出来事の糸をたぐり寄せながら
追憶にむせぶ
年老いた私が
ここにいる…
詩人:葉 彩薫 | [投票][編集] |
ひとり ひとり と
恋をして
またひとりと
次の恋をして
ひとりとの恋を終え
またひとりと恋を終え
いつも同じ恋をしている私は
まだまだ変わってないと思い
恋を失うたびに
また次の恋を探して
いつの時も
何度でも
恋を求めている私は
魔法なのか
病なのか
中毒なのか
素敵すぎて
恋を失うと
探してしまう
詩人:葉 彩薫 | [投票][編集] |
思いを込めた木のなかに
生い立ちの根をしっかりと張り
幹から枝へと伸ばす手に
湧き出る思いを添えたなら
指先から
葉が彩り薫る
たくさんの
言葉が彩り薫る
07' 23 sep
詩人:葉 彩薫 | [投票][編集] |
1月のニューヨーク
タンクトップに短パンで
ジョギングで汗を流して
シャワーを浴びて
プールサイドでは
午後の日射しを浴びて
ここは何州か
西海岸と呼ばれていたのは21世紀の話か
10メートルの防波堤が物語るものは何か
ある島国では
がらりと変わった地図になり
国土が狭ばり
島がまたひとつ
海面下へ沈んでいく…
資源が無いと嘆く首相
輸入した物質で
物を造り
それを輸出するも
他国と変わらぬ技術に製品
もはやこの国もやがて消滅へと向かう
人種がまたひとつ
消滅していく
砂漠のなかの湖
鳥や地上に生きる動物達
湖がやがて失くなることを知らない…
生態系が変化する
世界共通の動物になり
色とりどりの生き物が当たり前になる
いまでは各国
ひと月の間に四季が来る
毎週が衣替え
ならまだ良いほうだ
日替わりの四季
人々は歩く生活に戻り
車さえも使えない
武力などもはや時代遅れ
武器は必要な資源へと変わる
夜空では流れ星をよく見るようになった
またどこかの地に到着しただろう
明日はこの地にやってくるかもしれない
人々の夢が変わった
アーティスト
プロ選手
デザイナー
人気作家や詩人
それらの夢が変わった
地球を守りたい…
まだまだこの地球で生きたい…
やがて訪れる終末へ
いますべきことは何なのかと…
08' 15. JAN
詩人:葉 彩薫 | [投票][編集] |
テーブルに並ぶ
メニューに
日常の何気ない
会話の途中
急にかしこまった彼が
『結婚しよう』
って言ってくれた
口のまわりに
ミートソースをつけて
言われても……
なんとなく
こういうのも
ありかなって…
小さく頷いた
詩人:葉 彩薫 | [投票][編集] |
好きな人ができる
甘く辛い恋
私が感じてるのは
貴方?
それとも恋?
私の恋と 貴方の恋
同じものとは限らない
そんな恋ならしたくない…
想うほどに
辛くなり不安になり
泣いてしまう夜が
また訪れるから…
恋はいつの時も
Happyなんかじゃない
詩人:葉 彩薫 | [投票][編集] |
あの頃のような私は
もういない…
もしかしたら
まだどこかにいるのかもしれない…
でも
いまは
愛しく思うあなたが
この胸のなかにいる…
日々
届くその言葉には
愛情だけじゃなく
喜びや楽しさ
そして
失くしてた
女としての幸せ…
私は
大切な母のような
慈悲深い気持ちで
あなたを愛すること…
それが
私からの
大切な
大切な母への贈り物…