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綾の部屋


[84] 愛を得た魚
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魚になれたら
雨も泳いでいけた

愛を得たその魚は
いつまで生きるだろう

温められた朝の
丸い空気が浮遊する

たとえ泣いたとしても
忘れようとは思わない

二人になったふたりが
私と僕になろうとも

君の名を音にすれば
天井に消えてゆく

海の底で憧れていた
あの遠い揺らめく光

それを味わった者は
同じ場所には帰れない

この世の幸福は
体温と鼓動と重力で

なんとも愛おしい
そして儚いものだ

だからきっと
君はまた愛するだろう

心配なんて要らない
死ぬまで生きるから

2009/08/20 (Thu)

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