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望月 ゆきの部屋


[132] 「くま」
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

昔の彼女にもらった
シベリアンハスキーのぬいぐるみに
つい なまえをつけちゃったんだよ
そのせいで 
今もそれは ぼくの実家で生きている
そんな事情は知らない
ぼくの家族に守られれながら
ピアノの上に座っている

昔の彼女の何もかもを
いとも簡単に処分できたのに
シベリアンハスキーだけは
生きつづけてるんだ

それから ぼくは
ヒト以外には
なまえで呼ぶことは やめた
すべてのものを
客観的に 
遠巻きに見守る決心で

だから ぼくは
心底 ぞっとしたんだ

今 ぼくの部屋に
たったひとつあるぬいぐるみを
きみが 手にとって
「モモちゃん」なんて呼んだときにはね


「くま」にしとけよ

2004/04/06 (Tue)

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