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望月 ゆきの部屋


[155] 眩しさのあまり
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

眩しさのあまり
涙が出るってことあるんだ

観覧車の前に立って
ぼくは それを見上げていた
いくつもの電飾に彩られて
それは 光り輝いていて
直視しかねるくらいだったのだ

もう ずっと前から
ぼくは わかっていたし
覚悟はしていたんだ

さよならは いつだって
突然なんかじゃない
予測くらいつくってものだ
それが今日だったってことについては
少なくとも 予測の範囲外だったけれど

意外にも ぼくが
いつものように 手をふって
きみを見送れたことについてもね

きみの背中に向けていた
右手をおろして
ぼくは 歩き出すために
後ろを向いた

歩き出そうとしたぼくの目の前に
その観覧車が 立ちはだかっていた
ふたりの想い出の存在感を
見せつけながら

観覧車は あまりにも光り輝いていて
あまりにも 眩しかったんだ
眩しくて 眩しくて
涙がこぼれてきた


眩しさのあまり 涙が出るってことあるんだよ

 

2004/04/15 (Thu)

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