もうずっとその海に肩までつかっている。初夏の陽射しが溶け出し揺れる波の浅葱色ここちよさにもう このままでもかまわない、と錯覚するほど。雨が振り出しても揺るぐことなく肩までつかったままでやがては髪も肌も溶け入る。それを待っているのかもしれない頬ではじける波しぶきの冷たさがナミダ目が覚めたらこにはいられない遠くの島まで泳いで広葉樹の下で雨宿りしよう。揺さぶるのは 波やがて枯れる 海涸れる ナミダ
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