あの日 しゃがんで拾った貝殻は引き戸の奥ひしめきあいながら眠っている。波に濡らしてしまった、と泣いたスカートのすそで今なお夕暮れは踊るあの日目の前を通り過ぎていった魚の群れ、群れ、群れどこに向かってどこにたどり着いただろうか。焼き付けた脳裏の水面今は遠いあなたの声が跳ねる向かうべき場所もめざす場所もあるわけじゃなかったただただおよぎつづけることそれで、いいあるきつづけることそれだけ
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