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望月 ゆきの部屋


[343] ファイブ
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

わたしだけのあなたにする
別の方法を
あなたが教えてくれたら、よかった


夜更けからの5時間にあなたがくれるもの
を、わたしは
朝の温度と同じスピードで
いつも、殺した
死にきれない細胞たちだけが
わたしの体温を維持して
また、夜を待つためだけに
呼吸を促し
わたしを、生かす


そのうち、わたし、あなたを殺すかもしれない、


首にかけた手の、親指に、力をこめてみる
すりガラス越しのネオンを、ナイフに反射させてみる
そんなわたしを見せるても
笑いながら、なお
いっそう悶えるだけのあなただった
ので
わたしは、いつまでたっても
手持ちぶさたを終えることができず
均等にしか力をかけられなかった、
5本の指だけが
ひどく、痛い


はやく、やらなければ、はやく、


あなたがこの世界から消えるということに
なんの違和感もなかった
あなたはこの世界から
ごく小さい、わたしだけの世界へと
住みかえるにすぎない
この世界には、たったひとつ
あなたがいつもわたしにくれた、
5時間の
快楽の根源だけ残してくれたら
それで、よかった


かわいい、あなたよ
わたしの懐でおやすみなさい
いいえ、
わたしたちは、もう
夜更けを待つことなく、体をかさねて
朝になっても、もう
あなたを殺したりしない

2005/05/05 (Thu)

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