詩人:望月 ゆき | [投票][得票][編集] |
川沿いに歩いて ようやく
国道まで出た
ぼくたちは、しばしば
夜を迷う
ぼくたちには靴がなかったけれど
それはたいした問題じゃなかった
歩くべき道を
さがすだけの、夜を
迷っていた
地図の上では 車が
時間と交差しながら
走りすぎる
ヘッドライトが照らす方向に目をやると
ときどき
あした、また
起きだしていくぼくたちが
ちらつく
バス停で
昨日までのレシートの束を
ぜんぶ捨てると
5グラムだけ軽くなった
「運転手さん、
朝の方へ走ってください」
と告げると ぼくたちは
すこしだけ楽しくなって
つかのま、眠りにつく
停留所には、靴が
きちんと並べられていて
当たり前のように ぼくらは
それを履く
それから
朝の入り口をとおって
また、日常を歩きだす