詩人:ふぉれすと | [投票][編集] |
今ここに生きているのは誰だろう?
今ここにある意識は何だろう?
自分であることには変わりないが
本当の自分はもう死んでしまった
ここにあるのは抜け殻と影
そう中身のない枠組みだけのくだらないヒト
後悔や不安と戦いながら
今日と呼ばれる一日をしのぐ
毎日毎日努力の積み重ね
でも本当の自分が生きていれば言うだろう
“今抜け殻がしていることは砂の壁を作ること
そう自分の影を隠すために”
何もかもが変わってしまったあの瞬間
全ての努力が費やされた鼓動の停止
一瞬で自分が自分でなくなった感覚
あの時得たものと言えば
生涯背負う悪魔の贈り物
そうたった一つ君を除いては
詩人:ふぉれすと | [投票][編集] |
僕はパズルを解いている
一見安易そうで実は奥深い
それでおいて完成が無く終演が有るという
矛盾を抱えた僕一人のためのパズル
僕が生まれた時にはもう存在していて
今でも僕を悩まし続ける
なぜ完成がないかって?
それは僕がピースを創り続けているからさ
なぜ終演があるかって?
それは僕が何時か必ず物質に還元されるからさ
この奇妙な三次元のパズルの上には
方程式なんて存在しない
例えば“努力=結果”とか
“愛する=愛される”とか
全てのピースとピースの間は“≠”で結ばれる
そりゃあ栄光で光輝くピースもあれば
思い出したくなくて真っ黒にしたいピースもある
涙で濡れてシワクチャのピースもあるさ
でも僕のは少し濡れてる部分が多すぎるかな?
今日もパズルを解き続ける
才能と運の欠落を努力のピースで埋めながら
“その絵の価値はどれくらい?”
僕は答える“価値は無い”と
何故なら誰も見はしないから
“じゃあ何で続けてるの?”
僕は何も答えない
何故なら生きてることに理由はないから
僕は誰にも必要とされてはいない
ただ今日も必死にパズルを創るだけ
詩人:ふぉれすと | [投票][編集] |
俺が欲する事
言い始めたらキリがない
ある書店に欲する事
もっとマトモなバイト雇ってくれ
ブックカバーも付けねーじゃねーか
JRに欲する事
もっと車両を増やしてくれ
一時間に一本は少なすぎる
アップル社へ欲する事
予告も無しに新型iPod出すのはやめてくれ
貯金がねーじゃねーか
酔っ払いのオッサンに欲する事
CH3CHOの臭いをどうにかしてくれ
酒弱えーんだよ
母親に欲する事
弁当に煮物は勘弁してくれ
飯が粥になるんだよ
建築屋に欲する事
アンプに対抗してデカい音出すのはやめてくれ
音量MAXでも聞こえやしねー
近所のコンビニに欲する事
同級生雇うのはやめてくれ
…気マズい
部員に欲する事
もう少し頭を使ってくれ
俺がいなけりゃ何もできねーか
電車に乗ってる高校生に欲する事
参考書にカバー無しで読むのはやめてくれ
ガリ勉は見せつけるモンじゃねー
元カノに欲する事
夜中にメール寄越すのはやめてくれ
切ねーよ
下らない政治家に欲する事
青春時代の性欲を中高年期の金欲で晴らすのはやめてくれ
暗記ガリ勉大変だったのはわかったからさ
担任に欲する事
俺のことなんか放っておいてくれ
何言われても俺は変わらねーからよ
運命に…神様に対して欲する事
俺の脚を返してくれよ
俺の選手生命返してくれよ
俺のマトモだった青春時代返してくれよ
たった一人の君に欲する事
もっと近くにいてくれよ
もっと側にいてくれよ
もっと声を聞かせてよ
もっと…
もっと…
もう…身体も…心も…もたねーよ…
詩人:ふぉれすと | [投票][編集] |
時間が止まった世界なんて
あるワケないと思うだろ?
全てが凍り付いた世界なんて
あるワケないと笑うだろ?
そんな未知なる地獄絵図
見たいのならば会いに来な
全てが止まったこの俺に
全てを無くしたこの俺に
全てが白紙のこの俺に
そして終わらせてくれ
この人生の序章を
詩人:ふぉれすと | [投票][編集] |
絶望の底にいたとしても
嘆くことさえできやしない
流すべき涙はもう枯れたから
憎き仇を殺ろうにも
復讐心も消えてしまった
あまりに世界が乱れてるから
過去を洗い流そうにも
押し流せるほどの力がない
隻脚のこの俺には
慰めなのか哀れみなのか
君を抱こうとする気力もない
全ての欲情が消えてしまったから
どうでもいいや
どうにでもなれ
もう痛みにも憎悪にも悲しみにも
慣れてしまったから…
詩人:ふぉれすと | [投票][編集] |
“虚構”に満ちた空間で
いったい何を望むのか
目の前にある課題には
何かを生み出す力はない
ノートに綴った無意味な文字を
喰い入るように見つめる者
シャーペンさえも放棄して
毎日眠りに落ちる者
苦しむ者は何者なのか
総てを捧げた力は何か
それは確かに“能力”であって
同時に再び“虚構”に還る
“価値”はいらない“意味”が欲しい
“目的”はいらない“真理”が欲しい
だがそれは欲望であり
総てが再び“虚構”に還る
己が力を求める事も
存在意義を求める事も
愛すべき者を求める事でさえ
総てが“虚構”へ帰り逝く
それでも我らは“虚構”を求める
たとえそれが虚構であっても…
詩人:ふぉれすと | [投票][編集] |
久々だというのに
予定さえも入っていない
漠然とした休日の日曜
やるべき事は山積だけど
その根本にカジリつく気力も無くて
フォークギター鳴らして気を紛らわす
出てくる歌詞は嘆きか怒り
奏でる旋律は哀愁で満ちている
誰かが聞いているわけでもない
何かに語りかけているわけでもない
ただ身体から流れ出ていく
“不可解な心の一部”
楽譜に留めようとは思わないさ
音符にしたら感情が無くなりそうだ
詩として残そうとも思わないさ
言葉にしたら意味が色褪せそうだ
ただ君にだけは届いてないかと
尽きない君への想いが生んだ
絵空事だけが儚く残って
静かな木漏れ日と調和する
そんな昼下がりの日曜日
詩人:ふぉれすと | [投票][編集] |
ある日歩んで来た道を振り返ると
そこには紅の足跡があった
その色は鍛えて上げていた魂の色で
まさに鮮血と呼ぶにふさわしかった
その血が流れ行き着く先は
重い荷物で窪んだ足跡
まるで麻薬のように効く
“最強”と言うまやかしの言葉で
少しも痛みなんてなかったから
そこが腐り始めていることも
肉片が爛れ堕ちていることでさえ
決して感じることはなかった
腐り果てたこの身体には
昔の“能力(ちから)”や“誇り”
まして“意志”なんて残っちゃいない
残っているのは虚構の隙間の
“後悔”や“憎悪”だけ
堕ちもせず悪臭を漂わせながら
詩人:ふぉれすと | [投票][編集] |
必然なのかな?何故こんなに
駆け昇ろうとしてるのかな?
そりゃ見下されるのはイヤだけど
今まで何度も失敗したじゃないか
そのたびにイヤと言うほど
ある時は才能の差を
ある時は運の無さを
嘆いてきたんじゃなかったのか?
それでも何故か止まれない
ずっとそのボロボロの脚で
駆け続けていたいのか?
それでも駆けるさ
ただずっと
ずっと“活きて”いたいから
詩人:ふぉれすと | [投票][編集] |
朝陽を浴びた部屋の片隅には
念入りに磨いたフォークギター
そのボディーに毎朝映す
瞳の澱みが信じられずに
今日も破れかけのクロスを片手に磨く
なぜこんなに汚れてしまったのか
いつこんなに汚くなってしまったのか
理由も何時かもわかっているさ
それまでは表の自分は汚したくないと
裏の自分が憎しみも悲しみも
瞳の奥で隠していたのさ
でもあの時全てが壊れてしまったのさ
あの時全てが裏返ってしまったのさ
ほら表の自分が瞳の奥で泣いてるから
それが涙になっていくんだ