詩人:在音 | [投票][編集] |
白い月(クラゲ)が凍る
空気の雫が光るほどに
誰も近寄れない夜
刻まれていく時間の音さえも
雪が空気に触れる音も
僕に流れる血の音さえも
記憶がかすみそうになる夜
吐き出すのを拒むかのように
思いを喉元に留まらせる
海岸が浸食していくように
零れた血が布に吸い取られていくように
とても静かな 朝になるまでの時間
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ワレモコウの紅は血の色
アスピリンの白は僕にとっては狂気
不機嫌な青空はハルシオンブルー
ゼラニウムのピンクは胎内回帰願望の色
新緑は安らぎではなく足音を殺す感染の色
ブナ林が隠している紫
ヤドリギにはかごめかごめの朱
祖父の最後の時の瞳の色は銀色だった
そして
貴方が逝ってしまう瞬間に感じたのは鈍色
僕の頬に流れるは灰桜の水
月白色にかわってゆく僕の記憶
全ては過ぎていく
そう 嬉しいコトも悲しいコトも
囁きながら降る雪よりも静かに
淡々と
自分の泣き声で目が覚めた夜
何故泣いているのだろうと....
貴方ならそんな時は何時も
僕の傍にいてくれたのに
そして僕は
貴方の茶色の瞳を見つめながら
ここが何処なのかを 感じていたんだ
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貴方に心から感謝する
有難う 僕を引きちぎってくれて
貴方はそうやって 僕が忘れそうになると
僕は何かと 振り返らせてくれている
貴方にとって 否定するだけの存在
愛サレヨウ ダナンテ 考エタ 僕ハ異物
何よりも身近に感じてしまう殺意
僕には 間違ったイレモノなのが身体
ちぎれた皮膚は タダレテ 再生ができない
心はとうに 狂人の器に捨てられた僕
秘密な計画がある
貴方がベッドの住人になった時
僕は貴方に何をしてあげられるだろうか...と
それまで 僕 が存在していれば の計画だけれど
それまで 何かを繋げていこう
それまで...
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僕には 遠すぎる願い
儚さすら 感じることもできなくて
神はすでに人工物
あの瞬間から 僕に拘わりはなくなった
全ては混沌
通貨は 貴方すら買える
僕の手元には 端のない紙 色あせてきたペン
透明に侵食されつつある世界
何かを残そう
存在を証明する何かを
意識の動くままに
優劣は次の誰かに任せればいい
下弦の夜 静かに散る櫻にすら
囁きがあるように
誰かの何かに この貧弱な音が残りますように
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とても大切な存在だというのに
きっとこの雪は...
受話器から届く涙
記憶の断片をたどって僕の元へ
あまりにも遠すぎるから
貴方を迎えに行けない
既に飲みつくされた薬
聞くコトしか出来ない僕
貴方はそのまま 朝をむかえるというの
隔離された夜を僕達は
こうして音だけをひろって
ごめんね 僕は無力だ
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寂しいなんて思いは もう喰らい尽くした
何時だって僕は僕
結局最後は この思いだけが目前に
むやみに楽しさなんて もう求めない
誰かに 何かに救ってもらおうとも...
矛盾した螺旋 そんなことは解っている
僕が僕であること 多分これからも
後悔ばかりして あがいているだけ
優越感も 怠惰も
みんな貴方のせいにする僕
成長することは ただ単に
絡みつく思いを消去すること
本来の僕を 殺すということ
自由 愛 希望 仲間 光
探しているなんて 傲慢かもしれない
足元に転がっているものは 何...
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貴方の存在が 僕であるという証
どんな時も流れる 貴方からの言葉
貴方と一緒に笑っていたいな
たとえ遠くにいてもね
ここに留まる理由
いつか貴方を抱きしめること
漠然とじゃなくて
明確にある ただ1つの願い
待っていてくれるかな
足取りがこんなに遅い僕でも
貴方がいてくれるだけで
こんなにも嬉しい なんて
重荷だろうか
今夜もクラゲ(月)に祈る僕
貴方の明日が どうか素敵でありますように
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矛盾ばかりを感じてしまうのは
不条理な現実がそこにあるから
貴方の存在すら歪んでしまうのは
貴方への均衡が保てなくなるから
逆流する紅い水
肌が凍る 呼吸が...
もう逃げられない ニゲラレナインダ
恨むことも 悔やむことも 全て僕のせい?
傷つけるのも られるのも すべて...
解離することは貧弱な抵抗の証
体温が戻る頃には...
記憶は残像にもならなくて
さぁ何からはじめよう
僕の名前は....
名前は....
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人は生まれた時
誰もが心に傷を持たずに生まれてくる
そして それからはただひたすら
傷を受け続けて生きていく
まっさらには戻れない
逃れることも出来ない
傷を受け止めることを成長と例える人もいる
あらがって 祈って 痛みを忘れようとする
痛みに慣れることも....?
不安と恐怖と痛みから
僕は何を学んでいるのだろう
減ることのない傷
この痛みがこれからの僕の為になるというの
卑怯者な僕
沢山の心を傷つけているのに
貴方を守りたいだなんて
僕が優しいなんて それは嘘だよ
僕は貴方が思うほど優しくなんかない
僕は弱くて残酷なヤツなんだ
恐らく 貴方以上に痛みに敏感で
そして 恐怖する都合のいいヤツなんだよ
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僕の旦那様は 赤毛のしましま
短めの手足 鼻先には喧嘩傷がある
おしるし程度なかぎしっぽ
抱きしめると 嬉しくてピコピコ
キスしても お腹はむはむしてもピコピコ
僕だけにしかしない 愛情表現
君を撫でる時に つい言ってしまう言葉
「おにぎりに耳」
子供の頃 ばぁちゃんが握ってくれた
まんまるおにぎりとそっくりだから
丁度 はみ出た海苔のように
ちっちゃくついている 君の白い耳
僕の言葉を 理解しているはずなのに
君は嬉しそうに僕を見つめて
ピコピコしっぽを 振っている
もし 僕にもしっぽがあったら
君と一緒にピコピコできるのにね
きっと 僕が猫ならば
君と同じ おにぎりに耳なヤツだと思うよ