詩人:都森 善太 | [投票][編集] |
なんの為に活きるのか
考えるのは止めた
なんの為に志ぬのか
考えるのは止めた
ただ祈ってばかりで
誰を信じるのか
そいつの中心に自分はいるのか
何も知らないって
顔が出来るまで器用じゃない
確かに死ねば
今なら英雄になれるかもな
冷たくて深い空と海に
命より軽い爆弾抱えたまま
そんな言い訳は
したくなかったんだろ
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眠り過ぎた晴れの日に
何もかも水に沈めた
書いては消した
寄せ集めの思い出に
色を付ける作業
ほら
そこから何が見える
問いかけには まだ
返事は返せない
返事は待たない
あの雑音は無題
耳を澄ませて
ゆるりゆるりと
もう次の眠りについている
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拝啓、本当の自分
深く、不覚に潜って
息継ぎの仕方
ミディアムテンポ
まだ忘れていないから
笑顔でいられるんだろう
チューニングガム
全部はんぶんこ
か弱き誓いを立てる午後
繋いだ手を離すまでに
季節は変わっている
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さっきようやく泣き止んだ
雨がまた降りだして
噂話で聞いた
ありのまま立ち尽くす
電柱の影
傘の変わり
大き過ぎた風船が
誰かの姿を隠している
置いてきぼりなんだ
水溜まりの猫はいつだって
バラバラに散らかした思い
集めた小部屋と
触れる温度
分けてもらう
あなただけが見ている夢
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あの少し欠けた月は
夜を身籠っている
朝は顔には出さないが
心を乱した自分の涙を忘れた
静かに沈んでいく
海の底に写す
そして闇は切り取られて
息を潜めている
誰にも
追い付かれないというのに
息を潜めている
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あなたから借りた
すべてを返したつもりで
最後まで取っておいた
空き袋が飛ばされて
原色が目立ち始めた
街の上を通過してゆく
なんだ
思ったよりもずっと軽い
どこまでも飛んでいく
透明になった
風の鳴き声が
帰り道の背中を押す
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「その日見つけたから」
ランダムに咲いていた花
傷みばかりを
集めて棄てるほどに
陥落街の路地裏
青い季節よ、さようなら。
不思議に温度
感じられればいい
電波、ディスプレイ。
ようやく寄り付いた
繋がりは
プラン限りなくシンプル
プラス限りなくサンプル
ダウンロード完了
限りなく、
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本日は快晴
選択肢はいくつもない
そう
それでも自由
悲しい事ながら
この場所は
温度がいつも一定で
正確に切り取られた
正方形から聴こえたサイレン
本日も平和
昨日の死亡者はゼロ
ただし一言
志願者モドキは
いつだって罵りあってる
そいつらを
いつか飛び越すから
今のうちに下見だけしておく
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三番目の曲がり角
差し込んだ交差点の灯りが
二人分だけ縮んで
用意した別れの挨拶は
バラバラになって
何処かへいった
また今度
なんて分かり易い嘘は
体温が溶かした
一人分で充分
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あれは風鈴蝉でありました
蚊殺線香のぐるぐる
紫の煙と染み付いた溜め息
吸い込んだマンションの壁紙
人に限りなく似せようと
足ばかり速くなった
二足歩行のロボットが
踏み潰して歩いた
あれは風鈴蝉でありました
ナツカシイナ
風鈴蝉しぐれなんていう
オサレな言葉も
昔はあったそうで
オマセなお子さん達は
一過夏を命がけで
恋に狂ったようで
脱け殻ばかり集めて燃やして
コトシハアツイナァ
潰れた駄菓子屋の前で
百円玉を握り締め見上げた
あれは風鈴蝉でありました