詩人:都森 善太 | [投票][編集] |
沈んでいく
静かなさかな
そんな
同じ目をしていた
その奥は冷たくて
ガラス越しに
両手で愛を語る
複雑なサイン
心臓に一番近い
小さなスイッチ
探し合って
求め合って
同じような瞳に
お互いを撮す
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優しすぎるから
あの人は言った
それは理由にならない
僕は思った
同じような夢ばかり見たくて
夜にしか交さない挨拶も
不思議には思わなかった
わざと遺しておいた
忘れ物は何だったのか忘れた
タバコの銘柄を
変えた事は覚えていた
変わらないね
君は言った
それは理由にはならない
僕は思った
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いい加減に
その止まった時間を
誰かに重ねないように
動き出すタイミングを
探すのは止めた
焦点が合わなくて
言い訳にも足りない
周回遅れで降りだした雨と
飛行機雲の季節
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初めて飼ったのは犬
真っ白なライカドッグ
月を目指して
燃え尽きた
軽くなったロケットは
ヒト科及び迷信的クラシック
満載にして
木星まで飛んだ
やがて
誰もいなくなった
寂しい青色から
ライカドッグは
月に向かって跳び立つ
そして
下らない進化に噛みつく
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君はきっと僕よりも速く泳ぐ
まだそう思っていた
手がかりを無くして
この星の引力は半分になる
だからきっと
瞬きをしている間に
懐かしい街の夕暮れの空を
追い越して
空回り
届かない右手は
ひどく痛む
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一秒の狂いもなく
一瞬の残光を残して
例えばそこに
迷いがあっても
行き先だけは
分かっている
つもり
立ち上がり
ゆっくり
ホームの向かい側に
別れの挨拶をして
行間も空けずに
電車が走り出す
歩くよりも速く
たどり着く
つもり
ようやく分かっているから
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それでも
知ろうとしない
月の陰影に何が沈んでいるか
その知識は全部
本に書いてある
本当の冷たさなんて
ただ眺めているだけで
本当は充分なのに
それでも
知ろうとする
知らなきゃ駄目だと
誰かに言われたから?
そして
押し付ける
痕を残すために
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残されたテーブルの円形
深青に浮かぶ電線の平行線
ピカピカの銀色
写真家の笑顔
今日はやけに空が綺麗だから
軌道をなぞって
子供の頃に
何度も繰り返した夢を拾う
追人になって