詩人:都森 善太 | [投票][編集] |
走って通り抜けた
古ぼけた踏切も
今は靴のせいにして
止まらない影を
ただ待っていた
通りすぎていく
よろめいていて
二人乗り限定の自転車に
道を譲りながら
あの夏の日になら
殺されてもよかった
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あの唇はよく動き
よく喋りはするけれど
本当の事は
伝えようとしない
言葉なんてそんなものだ
パクッと口にくわえれば
それが愛だなんて
とても簡単だ
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それなりに
うまく生きてはいるけど
別れを伝えるのは
相変わらずに
うまくならない
降りだしたノイズから
耳を塞いで
泣いていたのが
誰だったのか
うまく聞けなかった
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空色の傘を探している
雨降りの日に出て行ったまま
帰ってこない
明日の空模様をうかがう
空色の傘を探している
あの雨降りの夜に
掴みそこねたままで
空を見上げる事も
握りしめる事もない
空色の傘を探している
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都合の
いいときにだけ
流す涙は癖になって
明日も
やっぱり雨が降る
生物的な
スピードなんかは
精一杯
強がったりしてるうち
朝が来る前に
流されていった
そんな孤独という数には
たくさんの自由が
隠されている
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まだ出会ってはいない
すぐに見つかる答えなら
渡す必要なんてない
だからもう少しだけ
変わらないでいてくれ
流れていく平行面ばかり
温かさはないくせに
感じやすいんだ
だからもう少しだけ
伝えないでいてくれ
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夜
タバコの自販機へ続く路で
いつかの
君たちを見かけた
いつまでも
なんて歌詞は
信じてはいないけど
ずっと前に
練習したギターは
一曲しか弾けなかった
いつかと
同じカタチを
眺めていて
月の夜は
冷たいメンソールの
匂いがする