あれは風鈴蝉でありました蚊殺線香のぐるぐる紫の煙と染み付いた溜め息吸い込んだマンションの壁紙人に限りなく似せようと足ばかり速くなった二足歩行のロボットが踏み潰して歩いたあれは風鈴蝉でありましたナツカシイナ風鈴蝉しぐれなんていうオサレな言葉も昔はあったそうでオマセなお子さん達は一過夏を命がけで恋に狂ったようで脱け殻ばかり集めて燃やしてコトシハアツイナァ潰れた駄菓子屋の前で百円玉を握り締め見上げたあれは風鈴蝉でありました
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