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ハリネズミの部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] ラウ゛、ソング
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土に寝ころぶ私。
固くて冷たい土。
頬で感じる、無数の命が蠢く感触。

溶けてゆく私。
腐った肉が殺げ堕ちて、露わになった骨。
栗色の髪は深く、深く土に食い込んでやわらかな根へと。

ぽっかり空いた眼禍に映る
青い、青い空。

あぁ、なんて青い空だ。あぁ、なんて青い空だ。
ふちどられた棺の中で
朽ちた身体が唄う
最期のラウ゛、ソング。
もう二度と唄うことのないラウ゛、ソング。


誰の耳にも届かない
ラウ゛、ソング。

2004/09/17 (Fri)

[2] あの月。
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金色の雫を滴らせながら月が泣いている

切りとった鎌のような月が、僕の首をはねにやって来る。

廻る、廻る、天の星。

天に磔にされた半月が
輝くシリウスに負けまいとして必死に叫ぶ。

廻れ、廻れ、天の星。

真っ赤な闇夜に
真っ白な光。
溢れ出る金色の蜜が
僕に何かを訴えかける

さあ、ここまで降りてこい。その光で僕の眼を射抜くがいい。この、地上の闇を映しきった眼を。その鎌で僕の頸に喰らいつけ。ほとばしる血をその金杯に受けるのだ。

天高く吹きあがった生命の水は、月に架かる梁となる。
天の川のように。

廻った、廻った、僕の身体。

2004/09/17 (Fri)

[3] タナトス
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殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してや る
殺してやる殺してやる 殺してやる殺してやる
 殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
 殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺して殺して殺して……………殺し…………て……る………………………私……………………………お願い、私を殺して。貴方が憎い。

  だから、  

 私をその手にかけて。
     私を殺して。

2004/09/17 (Fri)

[4] 眠れる森のお姫様
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貴方は、来ない
ずっと待ってるのに。
凍えそうな荊の海に埋もれて
鋭いトゲを白い肌に食い込ませ
待ってるのに。

どこにいるの?
私のこと、忘れたの?

早く口づけをして
でないと、私は貴方のことを忘れてしまう
貴方が記憶から消えてしまうの。

貴方の姿
その腕の暖かさ
髪に絡まる指の感触

記憶を重ねて。口唇を溶け合わせて。
この眠りの海から掬いあげて。

ここへ、来て
心を血だらけにして待ってるから
待ってるから。
私を想い出にしないで。貴方を忘れさせないで。
待ってるから。

2004/09/18 (Sat)

[5] お金≠幸せ?
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将来
一人きりだったら
福沢諭吉に囲まれて過ごすのも悪くないな

お金で幸せは買えない?違うよ
お金がなきゃ幸せは買えないの
愛があれば生きていける?
そんなの綺麗ごと
愛じゃお腹いっぱいにならないし、満たされることもない
裏切りにおびえるだけ

福沢諭吉も、新渡戸稲造も、夏目漱石も、決して私を裏切らない
お金に裏切られたって感じる人は、お金に裏切られたんじゃなくて
お金に負けたんだよ

想い出よりモノ。

私は
手に握りしめられる幸せを
きっと、掴み取ってみせる
確かなモノを。

2004/09/19 (Sun)

[6] 微分と積分と恋人達
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問1.
関数f(x)=貴方+∫f(恋)
 を満たす関数f(x)を求めよ。

∫f(恋)=kとおくと
f(x)=貴方+k

k=∫f(恋)

ここで、関数f(恋)を積分すると
∫f(恋)=私

従ってk=私

∴f(x)=貴方+私

2004/09/20 (Mon)

[7] 人魚の夢
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大きな岩に座って
あなたは私の髪をほどいた
青い空の下で
ひつじ雲を数えた
どこからか潮風の歌が聞こえてくるわ

あなたがくれた珊瑚の髪飾りをつけて
広い海原を泳ぐの
ほどいた髪がきれいだと言ったのは
あなたなのにね

暗闇の中
途切れそうな糸手繰り寄せて
私の小指にあなたの未来を結びつけて
あなたがいないとき
私は短刀を抱いて眠る

夢から醒めないように
幸せが消えないように

私が死んだら泣いてくれる人はいるのかしら?
私の骸を抱きしめてくれる人はいるのかしら?

あなたの思いでを砂に埋めたの
砂糖でできた夢は終わったわ
私の背中に羽根なんてない
翼をもがれた鳥はもうどこへも行けないのよ

いつか
私を思い出したら
青い空の下で私の名を呼んで


珊瑚の墓標で、泣いて。

2004/11/30 (Tue)

[8] Hedgehog's Dilemma
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あなたはいつも笑ってる
どうして?

手を伸ばした先にあるものは
拒絶という名の監獄

あなたの笑顔が私を傷つける
その針で突き刺すくらいなら
最初から微笑みかけないで
私の前から消えて

私は雪に埋もれたはりねずみ
どんなに寒い冬だって
その手に触れてはいけないの
誰も近寄らない
誰にも近寄れない
血だらけの身体を丸めて高い空ばかりみつめる

もう手なんか伸ばさない

2005/06/02 (Thu)

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