ホーム > 詩人の部屋 > 某の部屋 > 投稿順表示

某の部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] 弧月の旋律
詩人: [投票][編集]

 ああ
君の影にすら逢えぬ嘆き
 指折り数えた月夜の数
張り詰めた弓形はしなやかに
 この深い夜霧の晩に
私は君の夢を抱くのだよ
 枯れ草のように萎れていくばかりの
喉の渇きとは逆さまに
 君への想いは募り
実りきった酸漿のように弾け
 ほら 百葉の静寂(しじま)の中
芯からの呻きが生じるのだ
心臓の脈拍は旋律を為し
心の寸劇に命の躍動を吹き込むのだ
この若輩者は君なくしては
心模様は弧月であり
望月のような心持ちには到底
成り得ない事を知っておいてくれ給え

2006/01/31 (Tue)

[2] 近未来ブルース
詩人: [投票][編集]

こちら地球のFAR EAST LANDジパングよりお届けしますは近況報告
私とゆう野良人の心境報告であります




私不肖某
この黒目のレンズから
宇宙空間に起きる闘争を見つめているのですが


やはり宇宙は広いのですね

多種多様な思い違いが楽しませてくれています


未開拓分野の深さは無限であり

マクロをミクロに
ミクロをマクロに

感じ方なぞ数学のベクトルで表せられるものではないのは道理


しかし


ははは

どうか口達者でなに一つ物言わぬ後進者達よ
開拓者達の足を引っ張らないでくれたまえ

開拓はする側に回ってこそ楽しみに預かれる
その楽しみの為ならば私は銀河の向こう
アンタレスの毒さえ飲み込もう


君ら
帚星に乗り込む権利を放棄したいならし給え

君ら
怠惰に費やす時間はあるのかね

時間は有限で失うばかりの貴重品である

私からは『なあなあのナイフ』が君らの首もとに見えるのだ

君らがせっせと開拓者のスコップを奪っている間にだ



良き言葉と良き音楽が

出しゃばらず控えめに
私の傍らに漂うとき



私は無敵なのだと錯覚する



それはまた
言葉の奴隷と変換されるキーでもあるのだが


しかしいったい
この宇宙はどこまで広いのだ

地球から飛び出さなければ見えないならば
勇み喜びスコップを片手に
私は宇宙へと飛び立つであろう



ほら 私は颯爽と帚星に乗り込む

君ら
開拓者である私の汚れを笑うのは構わないが
せめて足を引っ張らないでおくれよ



安全や安泰が欲しいならシェルターに潜むがいい


恐れと陰口と妬みと脆弱さを食物とする植物達よ



私は知的好奇心のなれの果てさ
目指すは黒目のレンズでは見えぬ宇宙の果てさ

ここから先は宇宙



地表の夢は食い飽きたのだ

2006/02/01 (Wed)

[3] 風車
詩人: [投票][編集]

見よ
風の吹かぬ大地にそそり立つ

あの傲慢なる風車を


決して回り続けることは無いのに
それでも自己主張だけは止めぬ

あのくだらない建築物を



見よ
無意味そのものを著しく表す

あの哀しき風車を


生まれるだけ生まれ
消えていく建築物を



閉ざされた大地であるならば
この結果は至極当然と相成るが


しかしこれは

建築の過程も無駄な時間の消費消耗である

どんなに煌びやかに飾った処で
回らぬ風車に意味は無いのだ


手抜きでは風化するのは目に見えているのだし

ああ其れだから
これは全く


時間の無駄である




2006/02/02 (Thu)

- 詩人の部屋 -