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風端の部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] まわる。まわる。まわる。
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禍々がきたる

(それは唐突に)

白い白い時計兎は逃げ遅れ

(白い白い尾をもった)

まわる世界は万華鏡

(くるくると)

ガラス製の絵本にヒビが入り

(ゆっくり、しかし確実に)

世界は崩れてゆく

(飲み込まれてゆく)

2007/02/21 (Wed)

[2] テロテロリズム
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クマのぬいぐるみを公園に置き去りにする

(あれは爆弾だ)

ベンチに腰掛け俯く可愛いあの子

(けれど安い布とフェルトのカタマリ)

どんよりとしたお空はまだ大丈夫

(湿っぽい空気)

とある月曜の朝

何の変哲のないぬいぐるみは爆弾となった

(でも何の変哲もないぬいぐるみだったので爆発しなかった)

最期に犯人が

その小さな口で小さく微笑う

2007/02/22 (Thu)

[3] 蒼い月−ウタウワタシ−
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その夜

初めて月が蒼く見えた夜

気付いたら歌を歌っていた

(即興の名も無い歌)

伝える筈の想いが歌となってこぼれていった

(この歌は想いの涙)

ぽろぽろとゆっくり歌う

(ただ思い出すようにいつまでも)

やがて

大きな蒼い月にすいこまれたのか

自分だけに意味のある歌は

いつの間にか

静かに去って行った

2007/02/25 (Sun)

[4] おわる。おわらない。おわる。
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何も写さない真っ白な鏡

(かおをそむける)

追い掛けてくる顔無しの処刑人

(とても早くひたひたと)

場所がどうとか名前がどうとか今更聞かれる

(もう終わりかけているのに)

いまだに感想文は空白です

(だって覚えてないもの)

急げ急がすカボチャの馬車に轢かれて死んでしまう

(そんな結末だってあったでしょうに)

さよならお姫様

(でも終わらない)

2007/03/01 (Thu)

[5] 軽薄なヒト
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重苦しいのはもうヤだから

とても軽薄になろうと思いました

(半笑いが鼻につく)

そんなヤツになってみました

(すると)

世界はとてもとても狭くなりましたが

便利なツクリワライのお陰で

概ね思い通りの人生です

(よかったですね)


2007/03/06 (Tue)

[6] 受動的カレシ
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悪いね
僕は優しくはないんだ

(優しいと褒めたら彼は反論する)

僕はただ君の思うように行動してるだけ

(それも優しさじゃない?)

いいや違うんだ
これは僕の傲慢なんだよ

勝手に君の考えてることを想像して
分かった気になってるという、ね

(どうしてそんな事言うの?)

君もそろそろ僕に飽きてきた頃だろう
だから
別れようと思ってね

(・・・あなたは何がしたかったの)

別に何も
強いて言えば生きる理由を間借りしてたのかな

(全部嘘だったのね)

さてね
それは君次第だよ
僕は君の望んだことを手を抜かずに行動しただけだから

(出てって)

うん
そうしよう
そろそろ破綻すると思ってたんだ

(出てって)

ああ
よかった
うんうん

それじゃあ、身体に気をつけて

(彼は笑顔で出て行った。ただの一度も振り返ることなく)



2007/03/06 (Tue)

[7] わからない。わからない。
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よくわからない
けども大事な話をした

ゆっくりと丁寧に
一つ一つの言葉に意味をつけてカタチづくる

『わからないこと』
そういうことを話した

わからないけど
でも
わからないからこそ話すべきだった

途切れ途切れで
あやふや

それでも彼は
静かにうなずいてくれて
それがとても嬉しくて
笑顔なのに涙が出た

終わってみれば
本当によくわからない会話だったけど
真夏の雪のように
あたたかく溶けていった

2007/03/18 (Sun)

[8] 人形に名前をつける日
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背の高いビルの屋上で
小さな人形と青いベンチに座る

(一人じゃちょっと寂しいから)

右手を空に向けて
雲をなぞる

(なるべく動物がいいわ)

人形は喋らず
ずっと遠くを見ている

(きっと私には見ることの出来ないところ)

とてもとても
高い場所なのに風は吹かず

私と小さな人形は静かに

透明な時間の中

空を見ています





2007/03/22 (Thu)

[9] 祈り。祈られ。はっぴーえんど。
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だからただ、安心して
逃げる為の場所はありますから

(唯一逃げる理由はありません)

だからただ、だんだんと、遠巻きに
雪化粧は落としていきましょう

(折角なので春へ逃げましょう)

だからただ、静かに、空と、宇宙へ
願いを込めて祈ります

(肝心の星は見えません)

たからただ、キラキラと舞い降りる、綺麗な羽根を
受け止める為に腕を伸ばしましょう

(抱きしめれば)

晴れて愛ある君の抱擁
ずいぶん前から想像していたように優しい結末でした

2007/03/30 (Fri)

[10] そら。くも。わたし。
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よく晴れた日

私は目を瞑って空になり
ただただ広がってゆく自分を眺める

とても遠くに見える人影が
自分だと気づくまで


(たぶん、世界から削り取られる前、私は空でした)


思い出一つで一つの雲になり

子供の青空は曇天

雨も降るかもしれない


(ただただ、懐かしくて)


あらゆる屋根は邪魔だけど

屋根が無ければ人間で居られる自信が無い


2007/05/21 (Mon)
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